ロゴ 東京科学大学 血液内科学教室 Institute of Science Tokyo Department of Hematology

外来受診 アクセス
外来受診 アクセス

診療

診療

  1. 診療内容
  2. 入院診療
  3. 外来診療
  4. 血液内科で取り扱う主たる疾患
  5. 造血幹細胞移植
  6. CAR-T細胞療法
  7. 臨床研究
  8. セカンドオピニオン

診療内容

血液内科では白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などの造血器腫(血液のがん)に対して化学療法や放射線治療、必要に応じて細胞治療を行ないます。悪性疾患のみでなく、特発性血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血といった良性疾患や造血不全、血友病に代表される凝固異常症に至るまで血液疾患を幅広く診療しています。科学的根拠(エビデンス)に基づくのはもちろんのこと、患者さん一人一人の状態に合わせてよりよい治療を提供できるようスタッフ一同心がけております。

入院診療

診療棟 A棟15階 診療病床数 定数 22床 (無菌個室6床 無菌大部屋8床 一般病床8床). 緊急入院時や満床の場合、他の病棟で入院治療を行う場合があります。
入院中は初期臨床研修医、病棟指導医、外来主治医のチームで基本的に診療を行います。治療方針に関しては毎日行われるグループカンファレンスと週2回開催する全体カンファレンスで多くのスタッフで議論しよりよい医療を提供できるようにしています。A15病棟では14床の無菌病床を有しており、感染症の危険が高いとされる急性白血病等の化学療法を無菌病床で行っています。さらには、自家、同種も含めた造血幹細胞移植も無菌病床で行っております。初回の化学療法は入院で行なっていただくことが多いですが、治療が有効で外来でも安全に治療が可能と判断される場合には積極的に外来での化学療法に移行するようにしています。

入院延べ人数(2018-2020)

外来診療

東京科学大学病院は、2017年4月1日より全診療科において完全紹介制とさせていただいております。他の医療機関からの紹介状が必要となりますので、ご理解・ご協力をお願い申し上げます。

ご本人が予約を取られる場合:現在の主治医から紹介状を頂いた後に電話で予約をお取りください。
http://www.tmd.ac.jp/medhospital/patient/gairai/yoyaku.html

現在の主治医の先生が予約をお取りになる場合:主治医の先生に以下のサイトの指示に従ってお取りになるようにお伝え下さい。
http://www.tmd.ac.jp/renkei/renkei/yoyaku/iryou.html

血液内科外来 (医学部病院 外来棟 4階) 担当医表
午前 秋山 梅澤 野上 吉藤
田中 山本 長尾 新井
(CAEBV外来)
血液内科外来
午後 秋山 梅澤 野上 吉藤
田中 山本 長尾 血液内科外来
小山
(凝固線溶)

血液内科で取り扱う主たる疾患

血液疾患に共通して認められる症状

血液は骨の中にある骨髄という組織で作られます。造血幹細胞と呼ばれる血液細胞の種から分化・成熟の過程を経て、白血球、赤血球、血小板となり、血液中に届けられて全身で働きます。血液内科で取り扱う疾患の多くでは、この造血過程が障害され、それに関連した症状が見られます。正常白血球が不足すると感染症(発熱、倦怠感など)にかかりやすくなり、赤血球が不足すると貧血(動悸、息切れ、めまいなど)、血小板が不足すると出血しやすくなる(手足のあざ、歯肉からの出血など)といった症状が出現します。

<急性白血病>

骨髄中の幼若な血液細胞が癌化する病気です。白血病細胞(芽球)が無限に増加、かつ成長(=分化)障害を来し、骨髄で正常な血液細胞が造られなくなります。易感染性や貧血、出血傾向などが出現します。診断が確定すれば早急に入院の上、抗がん剤による化学療法を中心とした治療が必要となります。急性白血病の治療では、日本成人白血病研究グループ(JALSG)に参加し、最先端の化学療法を行っています。

<骨髄異形成症候群>

骨髄の造血幹細胞が、遺伝子の異常により形態的に異常な “役立たず血球” を作ってしまい、正常な血球を十分に作ることができなくなります。そのため、白血球減少や貧血、血小板減少などをきたします。症状は様々で、程度の軽い患者さんでは、無治療で経過観察することもあります。輸血などの支持療法に加え、リスクに応じて、エリスロポエチン投与や化学療法(azacitidineなど)、造血幹細胞移植を行います。全体の約1/3が白血病に移行すると言われています。

<慢性骨髄性白血病>

染色体の転座により発生したBCR-ABL融合遺伝子という異常遺伝子により、血球が増殖し、特に白血球が過度に増えてしまう病気です。症状はほとんどなく、健診などで偶然見つけられることが多いです。現在ではチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)とよばれる内服薬によりほとんどが外来で治療可能となっています。

<骨髄増殖性腫瘍>

赤血球が過度に増えてしまう真性多血症や、血小板が増える本態性血小板血症、骨髄で繊維化を来す骨髄繊維症などが含まれます。これらの疾患ではJAK2遺伝子やCALR遺伝子などの遺伝子異常が指摘されています。赤血球や血小板の過度の増加は血栓症の原因になりえます。リスクに応じて抗血小板薬や殺細胞薬(hydroxycarbamide)、分子標的薬(ruxolitinib)などで治療を行います。

<悪性リンパ腫>

成熟したリンパ球が、がん化してしまう病気です。リンパ節の腫大が最もよく認められる症状です。悪性リンパ腫には様々な病型があり、症状や治療法はそれぞれで異なります。本邦で最も多い病型はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で、抗CD20抗体を用いた多剤併用化学療法を行います。

<多発性骨髄腫>

形質細胞という細胞が骨髄でがん化する病気です。通常、形質細胞は免疫グロブリンという抗体を作りますが、がん化した形質細胞はM蛋白と呼ばれる「役立たずの蛋白質」を産生します。骨髄腫の症状としては、腎障害・貧血・病的骨折・高Ca血症などが挙げられます。新規薬剤が近年次々と承認され、副作用が比較的少なく効果の高い治療が可能となり、治療の幅が広がるとともに予後が改善しています。若年で合併症が少ない方には、自家移植を行っています。

<免疫性血小板減少症/特発性血小板減少性紫斑病>

免疫の異常により血小板の数が減少し、出血しやすくなる病気です。血小板数が高度に減少すると、手足にあざが増え、鼻血、歯茎から出血がみられます。ピロリ菌に感染している患者さんは、ピロリ菌の除菌療法で約半数で血小板が増加します。ステロイドやトロンボポエチン受容体作動薬での治療を行います。

<再生不良性貧血>

骨髄にある造血幹細胞が減少することにより、白血球、赤血球、血小板といった血液の細胞全てが減少します。軽症例では無治療で経過観察しますが、進行例では免疫抑制療法やトロンボポエチン受容体作動薬の対象となります。若年者の方は造血幹細胞移植を勧める場合もあります。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植とは前処置と呼ばれる大量の抗がん剤や全身放射線照射の後に血液の幹細胞を輸注する治療のことです。自分の幹細胞を移植する場合を自家移植、自分以外のドナーさんの幹細胞を用いる場合を同種移植といいます。自家移植では大量の抗がん剤で腫瘍細胞を根絶することを目的としています。一方、同種移植では抗がん剤や放射線治療の効果に加えて、ドナー細胞の免疫力の効果の上乗せも期待されます。ただし、自分以外の細胞を移植するために、特殊な免疫反応(移植片対宿主病(GVHD))が起こるために移植後も免疫抑制剤を必要とします。当科は日本骨髄バンク、日本臍帯血バンクの認定施設であり、難治性の造血器悪性腫瘍や造血不全に対し積極的に同種造血幹細胞移植を行なっております。

移植治療は大量の抗がん剤投与や放射線照射を行いますので、体力面、精神面ともに大変な時期もありますが、患者さんとご家族が安心して治療に臨めるよう、移植コーディネーター、看護師、薬剤師、栄養士、心療内科医、歯科医師など多職種と連携しチームで診療にあたっています。退院後も造血幹細胞移植後長期フォローアップ(Long Term Follow Up;LTFU)外来で、体調面はもとより、長期的なこころのケアや社会復帰を含め、移植を専門とする医師・看護師が包括的に支援させていただきます。

CAR-T細胞療法

CAR-T細胞療法とは、T細胞に遺伝子導入を行いがん細胞を選択的に攻撃できるようにした免疫細胞療法です。患者さんの血液細胞から取り出したT細胞に遺伝子導入を行った後に体内に戻します(図1)。CAR-T細胞は体内で増えて、1回の投与でがん細胞を攻撃し続けるという特徴があります。これまでの抗がん剤治療とは異なり、サイトカイン放出症候群(CRS)や神経障害(ICANS)といった特徴的な副作用に対する対応が重要となります(図2)。
CAR-T細胞療法ではリンパ球の採取や特徴的な副作用に迅速に対応するため多岐にわたるスタッフとの連携が必要になります。そのため医師(小児科・神経内科・集中治療部)・看護師・薬剤師・採取部門(輸血部・細胞治療センター)を含めた多職種でのカンファレンスを定期的に行っております。
当院では東京科学大学関連施設からだけでなく、様々な医療機関から患者さんを受け入れています。患者さんやご家族が安心して治療を受けられるように、紹介元から当院に受診する際だけでなく治療後に紹介元の施設と円滑に連携ができるよう努めております。

図1

図2

<CAR-T療法の治療実績>

2020 2021 2022 2023
急性リンパ性白血病 2 - - -
悪性リンパ腫 5 10 10 10

<CAR-T細胞療法のご紹介について>

当院では患者さんまたはそのご家族からのCAR-T細胞療法に関する質問や受診に関する直接の問い合わせは承っておりません。主治医の先生にご相談いただき、紹介していただくようお願いしております。

医療機関の先生方で紹介をされる場合には、当院地域医療連携室(03-5803-4655, https://www.tmd.ac.jp/renkei/renkei/index.html)にご連絡ください。適応等に悩むような症例でもお問い合わせいただければ迅速に対応させていただきます。

臨床研究

近年の血液疾患の治療成績の向上は目覚ましいものがありますが、依然として治療に難渋する疾患や病態も多いのが現状です。当科ではより多くの患者さんに安全で有効な新しい治療を行うため、様々な臨床研究を行っております。日本血液学会、日本造血・免疫細胞療法学会、日本成人白血病研究グループ(JALSG)、関東造血幹細胞移植研究グループ(KSGCT)をはじめとした多くの多施設共同研究に参加している他、非常に多くの病床を持った東京医科歯科大学関連施設との連携を通じて東京医科歯科大学グループとしての独自の臨床研究もスタートしております。

「造血器疾患患者における診断、治療成績、合併症ならびに支持療法に関する後方視的解析」へのご協力のお願い

セカンドオピニオン

セカンドオピニオンをご希望の場合、下記のサイトの指示に従い電話・ファックスあるいはEメールでお申し込みください。
http://www.tmd.ac.jp/renkei/renkei/second/index.html

セカンド・オピニオンとは?(対象となる方・料金・時間 その他)
http://www.tmd.ac.jp/medhospital/patient/second.html

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