顎変形症外来

東京科学大学

顎変形症

Jaw deformity

顎変形症とは

顎変形症の治療は、顎骨の変形を直すことにより、かみ合わせの改善を行うためのものであり、歯科矯正治療との協力が必要となります。また、歯の少ない方や呼吸・睡眠の問題のある方に対しては、歯科補綴治療、快眠外来と協力しながら治療にあたっています。同時に、顎骨の変形を直すことにより見た目(審美性)も改善され、患者さんの精神的・社会的な向上を目指しています。

受診方法

当科担当医への紹介であれば、担当医宛てに予約の電話をお願いします。紹介状に担当医の指定がない場合や紹介状のない場合は、当科新患日(月・水・金隔月)の10時30分まで、可能なら早目の時間にご来院ください。できれば、紹介状や画像や写真などの資料、および、健康診断の結果やお薬手帳などを、ご持参下さい。診査し説明のうえで、矯正歯科と連携して診療にあたります。

よくある質問

顎変形症とは?
上あごの骨(上顎(じょうがく))、下あごの骨(下顎(かがく))とのバランスがあわない状態を言います。上顎骨や下顎骨が成長しすぎたり(過成長)、もしくは成長が足りなかったり(劣成長)することで生じた病気です.程度が進むと顔の変形を伴い、精神的苦痛を伴う場合も少なくありません.かみ合わせと顔の変形を外科的に治療することにより、QOL(生活の質)の向上に寄与することを目指しています。
治療の流れは?
「歯並びが気になる」「あごが出ているのが気になる」などの相談を、かかりつけ歯科医に相談されて、もしくは直接、矯正歯科や口腔外科を受診される場合が多いです。受診後は、診査・検査を行い、通常、「術前歯科矯正治療➡手術➡術後歯科矯正治療」となります。
保険はきくの?
診断・条件が揃えば「顎変形症」の病名となり、健康保険の適用となります(矯正・手術とも)が、診断がつくまでは保険が適応されず、私費になります。また、高額療養費制度の対象になります。
顎変形症手術、どんな手術?
顎変形症の手術は、診査・検査の診断結果で決定されます。患者さんに合わせて手術術式を選択します。術前に計画をたてて、正確かつ安全に行うために、矯正歯科、歯科麻酔科、手術部、看護部などと連携します。歯科矯正治療が他院で行われている場合は、そちらの矯正歯科医と連携して手術を行います。
手術前には術前に三次元実体モデルを作成したり、コンピューター上で三次元シミュレーションを行ったりします。手術には、超音波骨メス(ソノペット、ピエゾサージェリー)などの器具も用い、骨の固定には、チタン製のミニプレート・スクリューとともに、吸収性のミニプレート・シート・スクリューも併用して、それぞれの方に適した手術法を用います。
顎変形症の手術は、体の手術の中で多い手術ではありませんが、口腔外科の手術の中では多い手術で、多くの方が受けられています。しかし、それぞれの患者さんによって骨の形などが異なりますので、手術後の状態も患者さんによってさまざまで、とても腫れたり、感覚の異常が出たりすることもあります。
入院するの?
術前・術後の歯科矯正治療や抜歯等は、外来通院で対応することがほとんどです。しかし、顎変形症の手術は骨の手術であり、十分に痛みや出血をコントロールしながら安全に行うために、入院・全身麻酔下での手術となります。入院期間はおおむね10日程度です。食事の制限が必要な場合や、術後の体調の回復が整わない場合は、少し長めになることもあります。なるべく患者さんの負担を減らすように工夫をしています。
顎間固定(がっかんこてい)とは?
上顎の歯列と下顎の歯列がしっかりと咬み合うように,上顎歯列と下顎歯列とをワイヤーやゴムでしっかりと固定すること顎間固定と呼んでいます。ほとんどしませんが、顎間固定をした時などには、創部の清潔を保つなどのために、鼻から細い管を胃に入れて、その管にて流動食による栄養摂取をしていただくことがあります。
一方、矯正用のゴムによる顎間牽引(がっかんけんいん)は、手術直後から行い、入院の間に自己管理できるように練習していただいています。
自己血輸血とは?
手術の前に予め自分の血を採って保管しておき、手術の時の出血に対して自分に輸血するというものです。細菌が繁殖しない保管期間は3週間と言われており、手術の3週間前に貯血します。一般的な手術では必要性は高くありませんが、希望に応じて対応します。自己血輸血をしたとしても、出血が多く輸血が必要となる可能性はあります。
以前に手術した時に使用した金属は?
以前に当科にて手術された方で骨を固定するための金属を除去されていない方は、MRI検査をするときに問題を生じることがあります。最近使用しているチタン合金のプレート・スクリューや吸収性の材料は問題がありません。約20年以前の手術でワイヤー固定をした場合に画像が乱れる等の問題が生じることがあります。金属の種類等を確認されたいときは、病院事務か当科外来受付にお問い合わせいただくこととなりますが、確認のお時間をいただく場合があります。

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