教授挨拶

東京科学大学

教授挨拶

Greeting
顎顔面外科学分野 教授 加持秀明

顎顔面外科学分野
教授 加持秀明

 このたび2025年9月1日付で、顎顔面外科学分野教授を拝命いたしました加持秀明でございます。長きにわたり築かれてきた本分野の伝統を受け継ぎ、その重責を改めて感じております。これまでご指導・ご支援を賜りました多くの先生方に、心より御礼申し上げます。

 2024年10月、東京医科歯科大学と東京工業大学が統合し、新たに東京科学大学(Institute of Science Tokyo)が発足いたしました。医・歯・理・工の垣根を越えた学術融合を推進する本学の理念のもと、約100年の歴史を有する当分野もまた、新たなステージでの挑戦を迎えております。

 私は2000年に東京医科歯科大学歯学部を卒業後、2004年同大学大学院にて博士(歯学)を取得いたしました。その後、2008年長崎大学医学部を卒業し、医師として聖路加国際病院での初期研修を経て、自治医科大学形成外科にて頭蓋顎顔面外科の研鑽を積みました。2017年より静岡県立こども病院形成外科に勤務し、2020年から科長、2021年から頭蓋顔面・口蓋裂センター長を務め、新生児期から成人期に至るまで、頭蓋顎顔面領域の先天異常を中心とした外科治療に従事してまいりました。特に口唇口蓋裂治療では、出生前診断から成長終了後の最終手術まで一貫した治療に力をいれておりました。顎顔面および口腔に機能的・整容的課題を抱える方々が、より良い人生を歩めるよう支援することを信条としております。

 本分野では、顎変形症、口唇口蓋裂を中心とする顎顔面先天異常、顎関節疾患、口腔良性腫瘍、顎顔面外傷、歯の発育・萌出異常など、顎顔面領域の先天性および後天性疾患に対する外科的治療を中心に、教育・研究・診療を行っております。対象となる領域は、「食べる」「話す」「呼吸する」といった生命維持に関わる機能面のみならず、「見た目」や「感情を表す」といった整容面においても極めて重要です。すなわち、人が生きていくうえで欠かすことのできない部位の外科治療を担う分野であるといえます。

 今後は、本分野の伝統と専門性を大切にしつつ、医歯工連携を基盤とした新たな研究体制の構築を進めるとともに、教育面においては、時代の変化に対応し、多様性を尊重した顎顔面外科医・口腔外科医の育成を目指してまいります。また、臨床面では、医学・歯学・理学・工学が一体となった先進的な治療体系の確立を目指し、教育・研究・臨床のすべてに誠実に取り組むことで、顎顔面外科・口腔外科のさらなる発展に貢献してまいります。