My Career Story

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石丸 美穂 氏

大学院医歯学総合研究科(歯)
歯科公衆衛生学分野
准教授(キャリアアップ)

当制度に申請した理由(着任への想い、どのようなスタンスやマインドでダイバーシティ推進に携わろうとしているか、キャリアアップに向けた意欲など)を教えてください。

「幸運の女神には前髪しかない」ということわざがあります。これは、チャンスが目の前に現れたときにすぐに掴みにいかなければ、その幸運は通り過ぎてしまう、という意味です。

私はこれまで、研究者としてのキャリアを積むために、多くの先輩方が何度も教授・准教授のアカデミックポストに挑戦している姿を見てきました。正直なところ、「まだ早いのではないか」「今は育児で忙しいから、今回は見送ろうかな」と思ったことがなかったわけではありません。しかし、所属分野の相田教授からのご推薦もあり、またチャンスを掴み取ろうという気持ちのもと、今回申請することを決意しました。

現状として、出産や育児は、女性にとって一時的にキャリアにブレーキがかかることが多いと思います。それでも、周囲のサポートに支えられ、これまで研究者としてのキャリアを継続することができました。今後は、さらにキャリアアップを図ることで、後進の育成に貢献することが私の使命だと感じています。

ご自身のお仕事の内容とその魅力について教えてください。

私の研究分野はビッグデータを利用した臨床疫学やヘルスサービスリサーチです。主に、日々の診療で生じるデータを中心に研究・解析を行い、患者さんにとって有益な医療エビデンスの提供を行っています。AIが急速に発展を遂げている昨今、この世界に存在するさまざまな医療データには大きな価値があります。特に歯科分野において、診療の多くはクリニックで行われており、大規模な研究を行うのは難しい現状にあります。しかし、本学病院では非常に多数の歯科診療が行われており、日本でもトップクラスです。大学ベースの情報を利用し、その価値を生かして、今後も研究を続けていきたいと考えています。

キャリアアップ教員に就いたことで、ご自身や周囲で変化したこと等があれば教えてください。

現在育休中ということもあり、まだ周囲の人にはそれほど伝えておりませんが、「おめでとう」「よかったね」など温かい言葉をいただきます。また、いつも支えてくれている家族にも報いることができているのではないかと感じました。

当制度に期待すること、ご要望等はありますか。

近年、女性限定の公募や入試の是非について、大きな議論が巻き起こっていると感じています。性別によって人生の選択肢に壁がある現状は、少しずつでも是正していきたいと、出産・育児を経験している一人の女性として強く願っています。

ただし、世の中には、性別に限らず、さまざまな事情によってキャリアアップが難しい状況にある方や、運に恵まれずにその実力を発揮できていない方も少なくないはずです。

そうした多様な背景を尊重し、より広い視野でダイバーシティを推進するようなキャリア支援制度が整備されれば、さらに素晴らしい大学になると期待しています。

今後の目標(どのような女性リーダーになろうとしているか、研究者・医師・歯科医師・教育者としての抱負など)を教えてください。

私は、これまで多くの幸運に恵まれ、また恩師や上司・同僚、そして家族の支えがあり、キャリアを築くことができたと感じています。

これからは、自分が受けてきた支援を次の世代に繋いでいく番だと思っています。それぞれが異なる事情を抱えており、誰もが常に仕事一筋に打ち込める環境にいるわけではありません。だからこそ、誰もが自分だけの道を切り開いていけるように支援できる、そんなリーダーになりたいと考えています。

とはいえ、まだまだ自分自身の研究への情熱も強く持ち続けています。これからは、研究者としての活動に加えて、リーダー・教育者としての新たな役割にも全力で取り組んでいきたいです。