My Career Story

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田村 郁 氏

東京科学大学病院
医療連携支援センター
准教授(キャリアアップ)

当制度に申請した理由(着任への想い、どのようなスタンスやマインドでダイバーシティ推進に携わろうとしているか、キャリアアップに向けた意欲など)を教えてください。

2023年度、旧・東京医科歯科大学病院の医療連携支援センター長になりました。センター長の仕事は対外的な業務も多く、職位が上がることが仕事をスムーズに進めていく上でメリットになると思い申請しました。また私はこれまで、上司や同僚・家族の理解とサポートがあり、2人の子供を育てながら脳神経外科医としてキャリアを継続してきましたが、自分自身が更にキャリアアップしていくことが、後に続く若手医師のロールモデルや励みになるのではないかと考え申請しました。

ご自身のお仕事の内容とその魅力について教えてください。

Neuroscienceと自分の技術で患者さんを治すことができる外科医の仕事に憧れ、脳神経外科医になりました。悪性脳腫瘍を中心に、脳卒中・頭部外傷などの患者さんの治療に携わっています。脳神経外科は、昏睡状態で運ばれてきた患者さんが手術等を経て元気に退院していく、という劇的な改善を目の当たりにできる診療科です。私が専門にしている脳腫瘍は100以上もの種類があり、同じ疾患でも腫瘍のできる脳の部位により症状が異なります。悪性脳腫瘍は手術摘出度と予後が関係しているので、障害を残すことなく最大限の腫瘍摘出を目指し、術中モニタリング、ニューロナビゲーション、術中蛍光診断などの新しいテクノロジーを取り入れた手術を行っています。術後は病理診断や遺伝子異常等に基づいた放射線や化学療法などを行っています。患者さん一人一人にあった手術やその後の治療を、患者さんの生活の質を考慮しながら行えることが魅力です。研究では、大学院生や基礎の研究室の先生と一緒に悪性脳腫瘍の病態や画像診断についてのtranslational researchを行うと共に、予後改善を目指した複数の臨床試験に参加しています。

医療連携支援センターは、通院から入院、治療後までのトータルな支援を通して、患者さんの療養をサポートし、大学病院と地域医療機関の円滑な橋渡しを行うセンターです。初診予約、入院オリエンテーション、退院支援・療養支援などを通して、大学病院に通院・入院するほぼ全ての患者さんと関わります。多くの患者さんへ、質の高い医療の提供と良い療養へつながるような支援を行えることが魅力です。

キャリアアップ教員に就いたことで、ご自身や周囲で変化したこと等があれば教えてください。

多くの方に、「おめでとう」「これからも頑張って」などと声をかけていただき、キャリアアップ教員への期待と責任を感じています。自分自身が携わる臨床や研究のことだけでなく、ダイバーシティや後輩の育成、病院や大学全体のことなどを俯瞰的に考えることが増えました。

当制度に期待すること、ご要望等はありますか。

研究支援員配備、オーダーメイド支援など、当制度の手厚い支援に感謝しています。画期的なこの制度をぜひ今後も継続していただけたらと思っています。そのためにも、この制度を活用して自分自身が成果を出していけるよう努力していきたいと思います。

今後の目標(どのような女性リーダーになろうとしているか、研究者・医師・歯科医師・教育者としての抱負など)を教えてください。

脳神経外科医としては、悪性脳腫瘍の治療に精一杯取り組み、診療で出た疑問を解決するような研究を続けることで、悪性脳腫瘍患者さんの予後を少しでも改善できるよう努力していきたいです。

医療連携支援センター長としては、「地域連携室」「入院支援室」「患者相談室」「医療福祉支援室」の4部門からなり、医師・歯科医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、事務等の多職種が複雑に関わって運営されている医療連携支援センターをうまくまとめることで、より多くの患者さんに東京科学大学病院での治療を満足して受けていただけるようにしていきたいです。