My Career Story

花岡 まりえ先生イメージ写真

花岡 まりえ 氏

東京医科歯科大学病院
大腸・肛門外科 消化管外科学分野
講師(キャリアアップ)

当制度に申請した理由を教えてください。

日本の消化器外科医における女性の割合は6%程度と少ないですが、年々増加傾向です。しかし、指導的立場の女性消化器外科医は未だ少ないのが現状です。当分野は女性医師が約半数を占める全国的にもめずらしい外科であり、出産・育児と仕事の両立を目指す女性医師も今後多くなると考えられます。これまでの自らの経験を踏まえて、男女問わずライフイベントに直面した医師をサポートしたいと思っています。また、男女外科医に未だ根深く存在するアンコンシャスバイアスをなるべく少なくし、男女ともに働きやすい職場環境を作るという視点を持ってダイバーシティ推進に携わりたいと思っています。「女性外科医」という言葉が古く感じる日が一日でも早く来てほしいと願っています。

ご自身のお仕事の内容とその魅力について教えてください。

臨床面では、主に当分野の特色である直腸癌・結腸癌に対するロボット手術の執刀や指導から、潰瘍性大腸炎やクローン病をはじめとする炎症性腸疾患に対する手術(緊急手術含め)を行っています。特にロボット手術においては、模範となる絹笠教授の手術を目指して(まだまだですが)日々努力を重ねており、質が高い手術ができ、患者さんが満足して帰られた時、また指導した医師の成長を感じる時に大きな充実感を感じます。教育面においては、これまで獲得したノウハウを生かして特に医員および大学院生の学位論文や学会発表の指導を行っています。実習でローテートする学生や研修医の教育に加えて、最近減少傾向である外科医の魅力を伝えたいと努力しています。学術面においては、日々の臨床で感じた疑問をそのままにせず、より良い医療に少しでも貢献できる結果を、論文や学会発表で積極的に発信できるよう心掛けております。特に外科系の学会では現在ダイバーシティ推進についてのセッションが多いですが、そのような領域での発表よりも、敢えて実際の臨床・研究に根差した発信をすることで、女性外科医でも普通に議論に参加する土俵を拡げたいと思って活動しています。

キャリアアップ教員に就いたことで、ご自身やご周囲で変化したこと等があれば教えてください。

キャリアアップ教員に対するリーダーシップ講座(リーダーシップやマネジメント力を鍛えるプログラム)に参加し、大きな変化を感じます。これまでにない視点で自己の成長を考えなければという大きな動機付けになりました。特に、組織の一員として何が求められているかにfocusして働けるようになった点は、大きな変化だと思います。

当制度に期待すること、ご要望等はありますか。

女性医師のみならず、男性医師も含めた多くのスタッフが満足のできる労働環境を作ることが、重要かと思います。最近の若い外科医の先生は、より柔軟な働き方を求めています。一律なキャリア形成や働き方にとらわれないダイバーシティが推進される制度になることを期待しています。

今後の目標を教えてください。

男性、女性という性別に捉われることなく、個々人が満足できる職場を作れるような視点を持ちたいと思います。「女性医師が働きやすくなるために」とか「女性のリーダーを増やすために」ばかりに目標設定すると、必ず男性医師からの不満や歪みが出ます。ダイバーシティを推進するためには、男女間の枠組みにとどまらず、それぞれのライフスタイルや考え方を生かすスタンスが求められていると思います。今後女性の外科医が増えてくると思いますが、その中から自然に個々人が成長した結果、多様な意見が認められ、男女関係なく多様なリーダーが生まれる環境を作ることに貢献したいと思います。そのために、特にキャリアアップ支援をいただいた後は、組織にとって必要と思う提案や発言を積極的に行っており、今後も継続できればと思っています。また、自分がこれまで得ることができた知識や経験は、余すことなく後輩に伝え、どんな立場になろうと常に新しい知識や知見をアップデートしていく努力を怠らないようにしたいと思います。