My Career Story

山口 久美子先生イメージ写真

山口 久美子 氏

東京医科歯科大学
統合教育機構
事業推進部門
准教授(キャリアアップ)

当制度に申請した理由を教えてください。

本学で医学科を中心とした学部学生への教育を担当しています。学習内容に関する質問のほかに、女子学生からのプライベートと学業・仕事との両立やキャリア形成の相談を受けることも非常に多くありました。この20年の間に女性教員の数は少しずつ増えていますが、一方で、上位職になるほど依然として女性が少ないことが気になっていました。近年は女性に限らず男性も「育児」を積極的に行っており、配慮することは当たり前に浸透していると同時に、その配慮の結果の負担を、その他のスタッフが引き受けることとなっています。様々な場面で「女性」という枠には育児をしている女性のみが対象になっていたため、「女性」を支える裏方もまた必要になると思っていました。今回、キャリアアップのチャンスをいただいたので、あらためて多くの人の環境づくりのお手伝いができるよう、頑張ってみようと思いました。

ご自身のお仕事の内容とその魅力について教えてください。

主に学部学生の教育に関わる仕事、教育に関わる教職員を支援する仕事をしています。全学部学科専攻を対象とするものでは、多職種連携教育を行っています。2023年度の新カリキュラムからは入学直後の多職種連携Ⅰが始まり、1年生、2・3年生、4・6年生の3段階での多職種連携のワークショップを運営しています。2023年度は久しぶりに対面のワークショップが行われ、約300名の学生の熱気に驚きました。また、医学部医学科・歯学部歯学科を対象とする、人体解剖学の教育を行っています。近年では、コロナ禍でも実習を継続する!をモットーに2020年度に2か月間大学に立ち入れなかったにも関わらず、通常4月末から開始だった解剖実習を6月から組みなおし、解剖学実習ができない学年が生じないように尽力しました。教育現場から題材を得て、「学生間の様々なつながりの多さは人体解剖学試験の結果に有利に働く」ことを研究成果として発表し、このような学生間のつながりをさらに構築できるよう、カリキュラム作成や学生支援を行っていきたいと思っています。その他、医学科の教育に関しては、カリキュラム2011、カリキュラム2023などの策定、医学科の卒業時コンピテンシーの策定、2度の本学の医学教育分野別認証受審の担当などの運営に関わる業務を担当しています。入学時から卒業時、卒後を見据えた医学生の教育全般に関わることができ、卒業生の活躍を確認できるという仕事を行っていることを誇りに思っています。また、統合教育機構では、教員研修を定期的に行っています。アクティブラーニング、コーチング、オンライン授業など、さまざまな研修を必要に応じて行ってきました。教職員のスキルの向上を図り、よりよい学生教育が行われることを期待しています。

キャリアアップ教員に就いたことで、ご自身やご周囲で変化したこと等があれば教えてください。

キャリアアップ教員に就いたと同時期に、副理事(高大連携担当)、統合教育機構の事業推進部門長、と2つの重要な仕事を任されることになりました。そのため、より多くのことを学ばなくてはいけないと実感していることです。今までは入学後の学生をどのようにサポートしたら素晴らしい医師・研究者になるか、ということだけを考えてきましたが、どのような高校生を受け入れることが本学の発展につながっていくか、なども考えるようになりました。東工大との統合では、必修科目ばかりで少人数の医療職・研究者を育てる本学の特殊性と、選択授業が多く大人数の研究者を育てる東工大とのいろいろな違いを感じ、それぞれの特徴を活かしつつ全体の統合を図るという難しさを実感する日々です。

当制度に期待すること、ご要望等はありますか。

現時点では、目の前に現れた新しいことになんとか全力で立ち向かうことに必死で、どのようにキャリアアップ制度を活用できるのか私自身わかっておりません。このあと諸先輩方に学びながら活用していきたいと考えています。

今後の目標を教えてください。

医学科の教育の一部を担う仕事からスタートし、本学全体の学部学生に対する教育の企画・運営・実施を行う立場となりました。今後の目標としては、より広い視野をもって、東京科学大学の学部学生に対する教育に幅広く携わりたいと考えています。その際に、キャリア初期から大切にしている「教育を受けている学生にとって良いことなのか」と振り返る習慣、当事者である学生からの声を聴き、現場で直接教育に携わる先生方やサポートして下さる職員と相談し、運営していく姿勢は忘れずに継続していきたいと思います。