
当制度に申請した理由を教えてください。
これまで一歩一歩進めてきた基礎神経生理の研究を、発展させる機会にさせていただけたらと考え申請しました。
ご自身のお仕事の内容とその魅力について教えてください。
私達の視線の動きは、前頭葉からの制御を受けています。私は、前頭葉が下位の眼球運動出力経路を制御して注視を支えている仕組みを研究してきました。従来、眼球運動の研究は、眼を如何に動かすかという発動機構の側面から主に進められ、眼を止めるための抑制機構にはあまり注意が払われませんでした。しかし私は発想を転換し、物を見ることは眼を止めることであり、制御の本質は抑制であると考え、抑制から見た系の解析を行ってきました。これまでに大脳前頭眼野が、眼球運動の発生機能を担うのみならず、不要な眼球運動の発生を抑制することによって、注視に重要な役割を果たすことを明らかにすることができました。また最近、眼球運動のみならず頭部運動についても解析を広げ、眼球と頭部運動の協調に前頭眼野のcorollary discharge(随伴発射)信号が果たす役割を調べています。
キャリアアップ教員に就いたことで、ご自身やご周囲で変化したこと等があれば教えてください。
私自身が精進することで、後進を勇気づけられるようにしたいと思うことが増えました。
当制度に期待すること、ご要望等はありますか。
まず、登用いただきましたことに感謝して、研究と教育に励みたいと思います。
今後の目標を教えてください。
この前頭葉による視線の制御系の構造をさらに解析するのと同時に、得られた結果を疾患の理解や臨床研究にフィードバックしたいと思います。今後共よろしくお願い申し上げます。

伊澤佳子先生関連ニュース
- オーダーメイド支援(2023年度)を活用し、シンポジウム『Frontiers in Neurophysiology: Women Pioneers in Motor Control』を開催します。
日時:2025年3月21日(金)15時~17時
場所:東京科学大学 湯島キャンパス M&Dタワー4階 アクティブラーニング教室
【申し込みはコチラ】(登録期限:3月18日(火))
【ポスター】