名前 小林 慎 理学博士所属 メディカル・トップトラック （MTT）プログラム
職名 ジュニアMTTフェロー (特任講師)
主研究テーマ
着床前の雌雄の分化とエピジェネティクな遺伝子制御
研究概要
精巣、卵巣が分化する以前の胚は見ただけでは雌雄を区別することはできない。しかし、個体の性差は生殖巣の分化前から始まる可能性が高い。そのような疑問から、着床前の雄と雌のマウス胚で遺伝子発現の比較を行っている。まず、トランスジェニックマウスを利用した着床前の性判別方法を用い、胚盤胞期の雄胚と雌胚を選別した。更に両者の遺伝子発現をDNAアレイにより比べた結果、予想通り雌雄で遺伝子発現が異なることが分かった。次にそれらの遺伝子の中から雌特異的に発現する新規インプリント遺伝子Rhox5を見つけることに成功した（ref１）。これは発生の非常に早い時期から、エピジェネティックな制御が雌雄の個体発生の違いを生み出している可能性を示すものである。今後エピジェネティックな制御が雌雄の発生や疾患とどのように関連しているのかを明らかにしていきたい。
論文
1. Kobayashi S, Isotani A, Mise N, Yamamoto M, Fujihara Y, Kaseda K, Nakanishi T, Ikawa M, Hamada H, Abe K, Okabe M. . Comparison of gene expression in male and female mouse blastocysts revealed imprinting of the X-linked gene, Rhox5/Pem, at preimplantation stages. Curr Biol. 16(2), 166-172 （2006)
2. Isotani A, Nakanishi T, Kobayashi S, Lee J, Chuma S, Nakatsuji N, Ishino F, Okabe M Genomic imprinting of XX spermatogonia and XX oocytes recovered from XX?XY chimeric testis. PNAS. 102: 4039-44 (2005)
主に行っている研究上の技術
1. トランスジェニックマウスを使った雌雄の産み分け
2. マウス初期胚におけるRNAiによる標的遺伝子ノックダウン
3. DNA マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析