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肺免疫治療学講座

2020年10月に東京医科歯科大学呼吸器内科・統合呼吸器病学を母体として、寄附講座が設置されました。本講座の設立により、国民の健康を脅かしている新型コロナ肺炎、気管支喘息、過敏性肺炎・肺線維症、肺癌に関する総合的な教育、研究を進めることによって、有効な治療を開発することを目標とします。つきましては、関係者の皆様には何卒ご理解とご賛同を頂き、御寄附を賜りますようお願い申し上げます。

背景

肺は呼吸を行うことによって常に外界と接しているため、粉塵やアレルゲンなどの異物やウイルスなどの病原体を排除する免疫系が発達しています。現在パンデミックになっている新型コロナ肺炎ではこの免疫システムが過剰に反応しサイトカインストームを来たして重症化することが分かっています。同様に過剰な肺免疫により過敏性肺炎・肺線維症や気管支喘息を発症します。逆に肺癌では免疫を回避するシステムが発動され腫瘍の増大や転移が起きることが分かっています。

呼吸器疾患の中でも免疫が関与するこれらの疾患:気管支喘息、過敏性肺炎・肺線維症、肺癌は、難治性呼吸器疾患として認識されており、議員立法で成立した「がん対策基本法〔2007(平成19)年4月1日〕」「アレルギー疾患対策基本法〔2014(平成26)年6月27日〕」の対象疾患にも指定されています。

そのため、肺免疫システムを制御して難治性呼吸器疾患の治療を開発することが社会的にも望まれております。

本講座の母体となる統合呼吸器病学・呼吸器内科においては、新型コロナ肺炎、気管支喘息、過敏性肺炎・肺線維症、肺癌の診療を行なっており、臨床研究・基礎研究の実績が豊富にあります。また、本学医学部附属病院は、2014(平成26)年8月6日より地域がん診療連携拠点病院、2019(平成31)年2月28日より東京都アレルギー疾患医療拠点病院に指定されております。

寄附講座の活動計画

  • 新型コロナウイルス肺炎における重症化因子、サイトカインストームを起こす因子を解明し、治療開発を行います。
  • 呼吸器内科で担当しているアレルギー疾患先端治療センターとともに研究・教育を行い、難治性気管支喘息の治療法を開発します。
  • 過敏性肺炎・肺線維症の発症機序を免疫学的に解明し治療法を開発します。
  • 肺癌、特に間質性肺炎・肺線維症合併肺癌における肺免疫システムの役割を明らかにして治療法につながる基礎的データを創造します。特に肺癌・悪性胸膜中皮腫臨床検体の中でも末梢血や病理標本等を用いて、腫瘍浸潤性免疫細胞などの腫瘍免疫状態の網羅的な解析を行い、基礎医学のエビデンスを創出します。

目標とする研究成果

本講座の設立により、国民の健康を脅かしている新型コロナ肺炎、気管支喘息、過敏性肺炎・肺線維症、肺癌に関する総合的な教育、研究が進むことによって、有効な治療を開発することを目標といたします。

2021年4月
肺免疫治療学講座 准教授 岡本 師
統合呼吸器病学分野 教授 宮崎 泰成