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ごあいさつGreeting

この度2018年5月1日付けで本学大学院医歯学総合研究科医歯学系専攻器官システム制御学講座 統合呼吸器病学分野(呼吸器内科)教授を拝命致しました。何卒よろしくお願い致します。

 私は1990年本学卒業後、青木延雄教授の本学第1内科に入局しました。大学で1年間、九段坂病院で2年間の研修を終了後、サブスペシャリティを何にしようか悩んだ末、呼吸器内科を選びました。当時、青木教授は血液内科学が専門で、その他に呼吸器グループ、循環器グループ、消化器グループ、膠原病グループ、糖尿病グループがありました。呼吸器グループは私の2学年上から連続で入っていましたが、その上は6学年上と学外も含めて総勢10数名の小さなグループでした。国内を見ても消化器内科や循環器内科の専門医は呼吸器内科の約5倍という状況で、肺がん、COPD患者の増加により呼吸器疾患患者は増加傾向している一方、専門医が足りない時代でした。患者は多く、医者は少ないという時期でしたので、呼吸器内科の領域で私の力を発揮できると考え、4年目に呼吸器グループを選択しました。ちょうどその年1993年に吉澤靖之先生が筑波大学大学より医科歯科に助教授で移動され、呼吸器グループ長として、さらに1998年内科臓器別再編に2年先立ち独立した呼吸器内科教授としてご指導いただきました。吉澤教授のご指導のもと急性肺障害をテーマに研究を行い、医学博士もいただき、その関連で2001年冬から米国ユタ大学Zimmerman研究室において新規接着分子の研究をし2004年秋に帰国しました。

 再び大学に戻ってきてからは、間質性肺炎を中心に臨床や研究を継続し、さらに2009年から稲瀬直彦教授のご指導で本学寄附講座睡眠制御学分野・快眠センターにて睡眠時無呼吸症候群(SAS)や不眠について医病歯病の先生とチームを組んで診療や研究を行いました。SASは生活習慣病とも関連が深く、その経験を生かして2012年からは本学保健管理センターにセンター長・教授として移動しました。学生職員の健康管理、1次予防や学習・就業能力の向上といった個人の能力を最大限に発揮できるような支援を行いました。2004年に大学に戻ってきてからは、呼吸器内科の仕事とともに大学の管理・運営も関わらせていただきましたが、これらの仕事が評価されて、統合呼吸器病学教授に選んでいただけたのだと思います。

 吉澤教授そして稲瀬教授が築いた呼吸器内科のモットーは「科学的な視点を持ちながら患者の苦しみに共感し臨床のできる医師」を数多く輩出することです。この伝統を引き継ぎ、間質性肺炎(肺線維症、過敏性肺炎など)と肺がんの難治性呼吸器疾患を中心にCOPD、アレルギー、感染症、睡眠時無呼吸症候群など呼吸器疾患のすべてにわたり、最先端の診断治療を行っていきたいと考えています。専門医数を見ると、未だに呼吸器は消化器や循環器の3分の1程度であり、充足しているとは言えません。人が集まる元気な教室を目指していきたいと考えております。皆様のご指導、ご助言をいただければ幸いです。よろしくお願い致します。

2018年7月
統合呼吸器病学 教授 宮崎泰成

統合呼吸器病学 教授 宮崎泰成