背景 γ-Glutamyl cyclotransferaseは,細胞内の主たる抗酸化物質であるGlutathioneの合成・分解を制御する酵素群の一つである(図1)。本教室 ではオーストラリア国立大学との共同研究の一環として,新規に抗GGCT単クローン抗体を作製し,これを用いて癌組織に対する免疫組織化学染色を施したところ,様々な臓器に於いてGGCTの発現が亢進,ないし減弱していることを報告している。 |
研究内容 |
新規癌バイオマーカーとしての臨床応用を目指して,食道扁平上皮癌組織,及び食道培養細胞を用いた研究を行っている。図2に示すように,食道扁平上皮癌組
織では8割以上の症例でGGCTの過剰発現が認められたが,同一組織内でも発現の度合いが異なる細胞が混在することもあり今後,本タンパク質の癌細胞に於
ける機能面の詳細な解析が望まれる。 また,食道癌培養細胞を用いた検討に於いても免疫組織化学染色の結果を裏付ける結果が得られており,癌細胞内で過剰発現しているGGCTは何らかの機能 を担っている可能性が示唆される(図3)。 |
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参考文献 |
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