科学基礎実験A,B,C

A: 医学部保健衛生学科検査技術学専攻対象 後期 木曜日 3, 4 限 (担当 岡崎三代、奈良雅之、勝又敏行、服部淳彦 、和田勝)
B: 医学部保健衛生学科看護学専攻対象 後期 金曜日 4, 5 限 (担当 岡崎三代、勝又敏行、服部淳彦 、和田勝)
C: 歯学部口腔保健学科対象 後期 木曜日 4, 5 限 (担当 岡崎三代、勝又敏行、服部淳彦 )

概要

 正しい化学実験および生物学実験に対する基本的な態度を身につけ、注意深い観察力、正確な判断力を身につけることにより検査技術学、看護学、口腔保健学の分野で指導的役割を担える人材を養成することを目的にしている。 危険な物質(硫化水素など)の取り扱い方、光学顕微鏡の使い方、一次記録の取り方、レポートの書き方などを学ぶ。各自が興味を持ったテーマを見つけだし、責任を持って実験ができるよう指導する(考察実験)。実験の結果および考察の書き方については個人面接を通して徹底的に指導する。

 内容はおおまかに I:無機定性分析(陽イオン系統分析、ペーパークロマトグラフィーの応用) 、II:容量分析(中和滴定、キレート滴定) 、III:光学顕微鏡を用いた観察である。いずれも大学受験で化学を選択した学生ならば馴染みのあるテーマである。陽イオン系統分析では H2Sガスを用いて硫化物を沈澱させるので、毒ガスを実際に取り扱うことにより、危険なものを正しく処理できる操作を身につけることができる。また中和滴定では一次標準物質を用いて二次標準溶液を標定したり、器具の公差を考慮に入れて誤差を議論することにより、本格的な容量分析を学ぶことができる。光学顕微鏡を用いた観察では血液塗沫標本の作製やラットの組織観察を行い、標本作製や顕微鏡の操作法を学習する。



実験の心得

成績評価の方法

科学基礎実験A日程表 (2004年度) A:検査技術専攻 B:看護学専攻

実験風景   2004年度  科学基礎実験A (2003年度) 科学基礎実験B (2003年度)

科学基礎実験「人造イクラを作ろう」がテレビ取材されました。

2004年度 科学基礎実験 考察実験優秀者の発表

2004年度 科学基礎実験 特別報告発表会

2003年度 科学基礎実験 A考察実験タイトルリスト

2003年度 科学基礎実験 B考察実験タイトルリスト

学生の感想 2003年度 科学基礎実験A 2003年度 科学基礎実験B 2002年度

化学教室



実験の心得 (化学実験テキスト p 3-6 )

  1. 実験を始める前に
    1. 実験書をよく通読し、実験の目的や内容を十分理解しておくべきである。テキスト通りにただ機械的に操作したのでは、単なるロボットにすぎない。できれば、関連事項は参考書等で調べておく熱意が欲しい。
    2. 実験は時間内に終わるようにすること。そのためにはあらかじめ方法等について検討し、計画を立てておくことが望ましい。
  2. 実験中の心得
    1. 実験はまじめな態度で行うべきである。不まじめな行動は思わぬ災害を招き、他人に迷惑をかけることになる。
    2. 定められた実験台は常に清潔に保ち、使用する器具類はよく洗い整頓しておかなければならない。倒れやすい器具類は台の端の方に置くと危険である。
    3. 使用する薬品や器具は大切に扱い、不足したり破損したならば直ちに補充すること。
    4. 試薬瓶の栓は同時に二つ以上開けないこと。栓をとり違えたために、その試薬が使用不可能になる場合が多い。
    5. 薬品をこぼしたままにしておくと災害のもとになる。薬品をこぼしたら直ちに雑巾でふきとり、雑巾は洗っておく。
    6. ガス、水道水、薬品などは無駄に使用しないように心掛ける。薬品などは大量に使用しても実験がうまくいくとは限らず、むしろその処理に時間と手間を要する。
    7. 水に不溶性の廃棄物は、所定の場所に入れ、流し等に捨てないようにする。マッチ棒は火を水で確実に消してから決められた場所に捨てること。
    8. 観察事項等は、直ちに記録しておくべきである。
  3. 災害および衛生について
    1. 実験中に何事が起ころうと、一番大切なことは人体に害のないように心掛けることである。
    2. 薬品を直接手で触れたりいたずらに味をみたりしてはならない。誤って手に触れたり口に入ったりした場合には直ちに水で洗うこと。実験終了後は必ず手を洗うこと。大部分の薬品は有毒である。
    3. 硫酸や苛性アルカリ等が皮膚や目についた時は、直ちに大量の水で流し担当教官に申し出て指示を受けること。危険な薬品を扱う時は、ゴム手袋、安全メガネ等の防具を使用する。
    4. 臭気を調べるときは直接かがず手の平であおぎ、臭気を呼び込むようにして調べる。
    5. 有毒ガスや悪臭気体を発生する恐れのある場合は、通気室(ドラフト)内を利用し、実験室内の空気を汚さぬようにする。
    6. アルコール、エーテル、その他引火性あるいは発火性の薬品の取り扱いには特に注意する。
    7. 試験管、ガラス棒等をむやみに振り回さないこと。中に入っているものが水だけとは限らず他人に迷惑をかけることになる。
    8. 試験管の中で物を熱する場合、常に振りながら加熱する。その際、人のいる方へ口を向けないように注意する。突沸した場合危険である。
    9. ガラス器具類は熱していても外見ではわからない。ガスバーナーで加熱するときには火傷をしないよう注意すること。ガスバーナーの炎は無色のところでも高温になっているから、頭や衣類等を近づけないように注意する。
    10. ガラス器具が破損したら、直ちにかたずけ掃除する。破片は小さくなりやすく危険である。ガラスの小さい破片を雑巾で拭きとった場合には、その雑巾は捨てる。
    11. 実験室では身体や衣類を保護する意味でできるだけ実験衣(作業衣)を着用するのがよい。皮膚の露出面積をできるだけ小さくするため、半袖・半ズボンなどは避ける。
    12. 実験中に起こった事故は、些細なことでも報告しなければならない。
    13. 消火器の備えてある場所を確かめておくこと。
  4. 実験ノートについて ルーズリーフは使わず、実験ノート( B5 判)を作り、1.Primary Record と2.報告 (report) の両方を書き込む方式をとる。ノートを用いる最大の理由は、記録の散逸を防ぎ、一連の実験の中でデータの順序がわからなくなってしまうなどの事態が起こらないようにするためである。
    (Primary Record )

    Primary Record とは、実験中の経過、状況などをその場で記録するもので、できるだけ多くの生の情報(そのとき記録しなければ永遠に失われるもの)を書き留める習慣をつけることを目的としている。実験室で行ったことは、その場ですぐにノートに記入するのはもちろんのこと、離れた場所で試薬の重さを測るときはその場所へノートを持っていくべきである。薬包紙・ろ紙・その他の紙片にとっさにデータや計算を書き散らすというような悪癖は絶対につけてはならない。ノートに記入しなければならないことは、試薬の量、操作、反応条件(温度、時間)、観察事項(色、発熱)などである。

    文章や形式を整える必要は全くない。そのようなことのために、忙しい実験中に余計な労力を使うことはない。自分だけにわかる略号などを使ってもよいが、あまり略しすぎて二、三日たって読んでみたら自分にも意味が分からなかったというようでは困る。そういう事態を避けるためには、名詞のみの羅列はやめて、短い文章を書くのがよい。複雑な構文は避けるべきである。記号や絵を使うのも良い。観察事項の追加がしやすいように実験経過が追いかけやすいもの(たとえばフローチャート形式)がよい。一連の実験は見開き 2頁以内に書き、頁をめくって次にわたらない方がよい。実験の区切りごとに時刻を記録するのがよい。

    実験しなくても書けるようなことや、あとでも書けるようなことは実験中には書かない。感想、解釈、考察などは実験中の状況の記録になる場合もあるので、待ち時間など余裕があって観察の必要もないような場合には書いてもよい。主観的で未熟な記述(きれいな、きたない、など)は報告には不適であるが Primary Record ではかまわない。

    可能な限り量的に記述してあいまいさを排除し、操作だけでなく所見も書く。定性分析と言えども定量的な記述は必要である。結果の検討のときなどにそれが生きてくる。逆に、容量分析になると数字だけ書き並べて定性的所見を書かない人がいるが、これも良い Primary Record とは言えない。

    あらかじめ記入欄を作って実験しながら記入する方式は、よく予習したという意味では良いが、 Primary Record の本来の趣旨からは外れている。実験では予想外の事態が起こる可能性が常にあり、そういう時にこそ、特に詳細な Primary Record が必要なのである。試料をこぼしたこと、器具の破損なども記録されるはずである。何回かやり直しをしたら、そのすべてについて記録するのは勿論である。(配布された)試料をどのように実験に消費したか、その経過をできるだけ詳細に記録する。最終段階では廃棄(流しまたは回収瓶)の記録があるはずである。一度ノートに記入した事項は、消しゴム等で消してはならず、もし変更、削除などをするときは、その箇所に 2本線を引き、後からでも読めるようにしておく必要がある。間違った情報でも、結果の検討に役立つことがある。あとで間違っていないことがわかった場合には、二本線のそばに「イキ」と書いて日付を入れておく。

    (報告)
    報告は誰が読んでもすぐ分かるように、できるだけきれいに、整理して書かねばならない。
    記入すべき事項をまとめると次のようになる。
    1. 実験題目、日付、天候、室温、共同実験者名、入室時刻、退室時刻
    2. 目的(理論的な説明を含む)
    3. 実験方法:器具、試薬、装置、操作、反応条件など
    4. 実験結果
    5. 考察 (題名をつけること)
    6. 反省、意見
    4-1 実験ノートの整理

    乱雑に書き込まれた実験ノートにあとで手をいれるのは手間がかかる。はじめから計画的に記録をとること、すなわち実験ノートをどんな形式にするかを決めておく必要がある。われわれが初めて化学の研究に従事し、実験ノートに記録を始めるのは、実験の経験に乏しい時代である。それはただ現象を克明に記入するということから始められる。整理をするということを考慮に入れるなどの余裕は持ち合わせていない。先輩諸氏からも『「こういった形式で記入するように」と詳細にノートについての指示をされない場合には、各人勝手に、しかも自分だけがわかればよいといった形式で記録され、このような自己流の記載形式は、その後の長い研究生活を通して、ほとんど変えられないまま惰性的に継続される。』という感想が寄せられている。

    そこで、将来研究実験を始める諸君がその前に、実験ノートから実験内容を引き出しやすいように、整理されたノートの記載方法を自分で作り出すことは極めて大切なことである。以下各自が実験ノートの記載方法を定めるに当って、参考とすべきことを述べる。

    4-2 実験ノートの表紙
    研究題目、番号、使用のはじめと終わりの年月日の他に必ず氏名と組番号あるいは住所を記入する。実験ノートは当人にとっては貴重な資料である。万一紛失した場合でも氏名と組番号、あるいは住所が記載してあれば当人の手に戻ってくる可能性が生じる。
    4-3 記入方法
    鉛筆または青、黒のボールペンを用いる。水溶性のインキを用いたものは使わない。
    4-4 目次とページ番号
    ノートの有効利用のためには目次をつけるべきである。そのため、ページ番号が必要になる。実験ノートの第1ページに書き込むまえに各ページに番号を記入する。
    (考察に関する注意 (化学実験テキスト p 92 )
    ノート面接で「考察が書けない、書くことがない」と訴えてくる学生をときどき見かける。操作の意味を良く考えずに単にマニュアルどおりに実験を行ってしまうと、考察に何を書けば良いのか分からなくなってしまうので、良く考えながら実験に取り組んでほしい。考察では実験結果、実験過程、あるいは実験課題全般に基づいて、自分の考えていることを論理的に議論することが重要である。実験者の考えが全く入っていない文章は考察とは言えない。例えば、実験中に観察したことをただ羅列した文章や、参考書を写しただけの文章は考察ではない。 まずは考察を書くことに慣れることが大切なので、考察の項で自分の考えを文章にまとめたら、積極的にノート面接を受けてほしい。

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成績評価の方法

出席点、面接点、実験ノート(一次記録およびレポート)、考察実験等について総合的に評価する。



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