修士/博士課程の学生を募集
当研究室では大学院生や研究生を募集しています。研究内容については分野の
研究紹介のページ及び、以下の最新のテーマを参照してください。研究の面白さを分かち合える、意欲ある大学院生を募集しています。
研究テーマは以下のとおりです。
1. レトロトランスポゾン由来の哺乳類特異的獲得遺伝子群の解析
ヒトを含む哺乳類は進化の過程でレトロトランスポゾンから新しい遺伝子を幾つも獲得しています。当研究室では、ゲノムインプリンティング研究から発見したPeg10/Sirh1、Peg11/Sirh2がレトロトランスポゾン由来の遺伝子でありながら胎盤形成に必須な機能を果たしていることを証明してきました(Nat Genet 2006, 2008a, b)。また、これらは重要なヒトにおける疾患遺伝子です。また、Sirh7/Ldoc1が胎盤の細胞分化にかかわり胎盤ホルモン調節を介して出産に影響をあたえること(Development 2014)、Sirh11/Zcchc16が脳内のノルアドレナリン量の調節により、注意力や衝動性など認知に関係する脳機能に関係すること(PLoS Genet 2015)を報告してきました。このように、これらの獲得遺伝子が哺乳類の胎生と脳機能の進化に重要な役割をはたしてきたことがわかってきました。他にもいくつか脳機能に関わるものが見つかっています(発表準備中)。これらのノックアウトマウスを用いた機能解明(変異マウスの表現型を見つける所から、その分子機構の解明まで)を担当したい人を求めます。
2. 初期胚での遺伝子発現解析
受精直後の最初の遺伝子発現(zygotic gene activation)に対する種々の胚操作(体細胞クローンや顕微授精)が及ぼす影響を解析しています。モデル動物としてのマウスを用いた研究だけでなく、人の生殖補助医療において、胚操作技術の安全性の向上を目指した技術改良を目指しています。さらに、エピジェネティックな制御に重要な脱メチル化の過程での酸化的シトシン修飾塩基であるヒドロキシメチルシトシンの1塩基単位での解析法を可能にする新しい技術の開発や、極微量サンプルを用いたmicro-ChIP技術の開発など、独自のアイディアで新しい技術を開発しつつ、哺乳類の初期胚での遺伝子発現制御・エピジェネティック制御の解明を行います。次世代シークエンサーを用いた解析も含め、分子生物学とバイオインフォマティックスの双方に興味のある学生を求めています。
3. 長鎖非コードRNA(lncRNA)の哺乳類発生における機能の解明
近年、哺乳類ではタンパク質をコードしない非コードRNA(non-coding RNA, ncRNA)が多量に転写されていることが分かってきました。これらの中でも、miRNAを代表とする小さなncRNAの解析は進みつつありますが、200n.t以上の長いncRNA(long noncoding RNA, lncRNA)は機能が明らかになっているものが稀であり、その役割を明らかにすることが求められている状況です。本研究室ではlncRNAのノックアウトマウスを解析することにより、lncRNAの発生における機能を明らかにすることを行っています。このノックアウトマウスを疾患モデルとしてヒトの疾患の原因究明に繋げたいと考えています。
X染色体再活性化は、幹細胞の多能性を評価できる指標として注目を浴びるようになりましたが、これまでのところ簡便なモニター法は報告されていません。 本研究ではX 染色体の再活性化をライブイメージングとして検出する方法を確立し、それを利用し「リプログラミング」の実体の理解を目指します。研究の成果はヒトES 細胞の効率的な作製に寄与すると期待でき、再生医療の発展に大きな影響を与える可能性があります。
その他、お問い合わせは、石野史敏宛にメールにてご連絡ください。