研究
1. 炎症性腸疾患の病態解明と新規治療法の開発
慢性大腸炎の発症と維持におけるIL-7の役割
インターロイキン-7(IL-7)は、IL-7受容体を発現した腸管粘膜内T細胞の増殖を調節する機構の存在より、正常の腸管粘膜免疫の維持に重要役割を果たしていることが明らかとなった。現在、慢性大腸炎の発症と維持におけるIL-7の役割を追求している。
炎症性腸疾患の病態解明とそれを基盤にした免疫統御療法の開発
炎症性腸疾患の二大疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病は、種々の遺伝因子や腸内細菌や食餌抗原による全身の免疫異常が大きく関わっており、結果として腸管特有の免疫装置に異常を生じ炎症が持続すると考えられている。そして、炎症性腸疾患の発症では腸管で精巧に制御されるべき免疫寛容の破綻という観点より、免疫応答の制御分子としての補助シグナルの関与が重要と考えられている。現在、補助シグナルを標的とした炎症性腸疾患新規治療法の可能性を追求している。
腸管粘膜免疫の特殊性を応用した炎症、アレルギーに対する新規治療法の開発
制御性T細胞 (CD4+CD25+ T細胞)はマウス大腸炎の発症を抑制するが、ヒトにおいて、我々は炎症性腸疾患患者炎症局所に同様の制御性T細胞(LP CD4+CD25bright細胞)が存在し、炎症局所において過剰免疫反応の抑制に関与することを明らかとしてきた。現在、発展的に炎症性腸疾患患者に対する制御性T細胞を応用した細胞移入治療の確立を目指している。