高速インターネットを用いた内視鏡画像転送デモ
東京科学大学消化器内科 坂本直哉
消化器内科、情報医科学センターが共同して推進している、高速インターネット(Japan Gigabit Internet)を用いた医療画像転送実験を、平成14年7月29日に本学と武蔵野赤十字病院の間で行い、内視鏡動画像・皮膚病変のリアルタイム転送・診断のデモンストレーションを行い、その経過が、テレビ、新聞などの報道メディアにて紹介されました。
今回の実験は、医療現場のニーズおよび患者さんのニーズから出てきた、患者さんのための技術開発であるであることを強調したいと思います。
- 本実験の目的は、消化器疾患の診断・治療に必須の消化管内視鏡の動画像を離れた地域の病院間で、画質を落とさずリアルタイムに伝送し、例えば診断の難しい疾患などの場合に、離れた他病院の専門医に画像を送り診療・治療に役立るなど、実際の診察への有用性を確認することです。
今回、消化器内科および情報医科学センターは共同して、KDDI株式会社/研究所/テクノロジーおよび通信総合研究所の全面的協力により、次世代高速ネットワークであるJapan Gigabit Network(JGN)と高品位映像配信技術であるDigital Video Transport System(DVTS)を用い、高精細医用動画像の病院間転送実験を行いました。
- 本実験は、先端的インターネット技術を組み合わせることにより、画像通信端末として通常の通常のパソコンを使用して、簡単操作で、どこでも、しかも高品位の動画を用いた普及型遠隔医療が実現できるようなシステムを構築することを目的としました。安価かつ柔軟性・汎用性に優れたシステムであり、この環境を利用して簡便で経済的な遠隔医療を実現することが可能です。
このシステムにより、大学と関連病院間の普及型遠隔医療が国内で初めて現実のものとなります。即ち、患者さんは遠方から特定の専門病院に行く必要がなくなり、どこの病院に行っても同じ専門レベルの診断・医療が受けられることになります。
- 本実験の結果から、本技術は今後1-2年の単位で、内視鏡診療実験など消化器内科領域に止まらず、皮膚科領域、外科領域など、他の様々な専門医療領域に応用範囲が拡充されていく見通しです。また、一大学の関連病院間のみならず、他大学との国内病院連携、更に将来的には海外との相互高品位医療動画画像転送も視野に入れた、国際的な病院連携を構築できる可能性が膨らみました。