得意とする分野

皮膚悪性腫瘍

担当医師 田中顕太郎、森 弘樹
外来日 火曜日、金曜日

皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)とは

皮膚悪性腫瘍とは、皮膚にできる癌です。皮膚悪性腫瘍はそのまま放置しておくと徐々に大きくなり、また全身の他の臓器に転移して体の各部位で増殖し、最終的には生命を脅かす可能性があります。そのため診断されれば必ず治療を受けていただく必要があると考えます。

一口に皮膚悪性腫瘍といっても、いろいろな種類があります。その中でも頻度が高いものとして、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫、乳房外パジェット病などがあります。これらはどの細胞から発生したかによって違います。もちろん外見の診察からも診断されますが、切除した腫瘍を顕微鏡で観察することによって確実に診断されます。

そのもととなる細胞が異なるために、これらの腫瘍はそれぞれ違った生物学的特徴を持っています。大きくなる速さや他の臓器への転移のしやすさ、あるいは再発の頻度など、それぞれ異なります。つまり悪性である程度が違いますので、どのタイプの皮膚癌なのかによって治療方針も変わってきます。当科ではいずれの種類の癌に対しても経験が豊富です。

  • 基底細胞癌

  • 有棘細胞癌

  • 有棘細胞癌

  • 悪性黒色腫

  • 悪性黒色腫

診断

皮膚にできものができたときには、それが悪性かどうかを判断することは非常に重要です。外見の特徴を診察し、またダーモスコピーなどの機器を使用してより細かく皮膚の性状を観察して、悪性かどうか、またどういったタイプの腫瘍が疑われるかを判断します。それだけで診断のつくこともありますが、一般的にはさらに腫瘍の一部を切り取って顕微鏡で観察し最終的な診断を行います。この過程では皮膚科や病理部との連携のもとに確実な判断を心がけています。診断が確定したら、癌の根治を目指した治療を開始しなければなりません。

一般に悪性腫瘍の治療に関しては、以下の三点を考慮する必要があります。原発巣(腫瘍そのもの)の大きさや範囲、リンパ節転移の有無と程度、他の臓器への遠隔転移の有無と程度です。治療に先だって、まずはこれらの現状を把握しなければなりません。そのためにレントゲン写真やCT,MRIなどの画像検査、また場合によってはPETなどの検査を行います。当院ではこれらの全ての検査が可能です。

治療

皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)の治療は当院では形成外科と皮膚科の協力のもとに行われています。形成外科では主に手術を中心とした外科的治療を担当します。皮膚悪性腫瘍の基本的な治療は原発巣を手術的に切除することです。皮膚にできた腫瘍を、周囲の正常な部分を含めるようにして確実に切除することが重要です。このときにどれくらい大きく切除するべきか、どこまで切り取れば再発せずに確実に取りきれるかが常に問題となります。これはどの種類の皮膚悪性腫瘍であるかによって大きく異なります。こうした判断はいろいろな種類の悪性腫瘍を治療した経験のある医師が行うことが望ましいと思われます。

腫瘍を十分に切除した後は、できた傷を治さなければなりません。切除範囲が小さければそのまま皮膚を縫合して終了する場合もあります。しかし切除範囲が大きくなった場合、その傷を治すためには様々な手術手技が必要となります。例えば皮膚を移植する、もっと大きく脂肪や筋肉を移植することが必要となる場合があります。体表面の手術ですから外見上の見た目の問題もありますし、また腫瘍の場所によっては機能が失われてしまう場合もあります。それらも考慮しながら、場合によっては体の他の部分からの複合組織移植を行うこともあります。腫瘍を十分に切除すること、切除した後の傷をなるべく元通りに再建すること、このふたつを確実に両立させることは皮膚悪性腫瘍の手術の最大の目標です。当科ではそのために必要な医療技術を提供しております。

リンパ節転移が明らかな場合には、原発巣を切除することと同時にリンパ節郭清(周囲リンパ節の掃除)を行う必要があります。しかしリンパ節転移がごく初期である場合には、その有無を診断することは困難です。以前は診断がつかなくても全例に予防の意味も込めてリンパ節郭清を行っていたこともありました。しかしリンパ節郭清を行うと、リンパ浮腫やしびれなどの後遺症を来し生活の質(QOL)を低くする場合があります。そこで不必要な郭清手術を回避するために、癌細胞がもっとも最初に転移するリンパ節を見つけ出し、そのリンパ節だけを検査して転移状況を確認する方法 ~センチネルリンパ節生検~が開発されました。そのリンパ節に転移が無い場合はリンパ節郭清を省略出来る可能性があります。また明らかなリンパ節の腫脹がなくても、センチネルリンパ節生検で転移が確認されたら早期の段階でリンパ節郭清を行う必要があると判断できます。この検査は、欧米にて悪性黒色腫の転移リンパ節を確認し不必要な郭清手術を省略する目的で開発されました。当科でも学内倫理委員会の承認を得て開始し、すでに十分な実績があります。

多臓器転移があるかどうかは生命予後に対して非常に重要な要素です。転移がある場合には、当院各科との連携のもとに可能な限り根治と救命を目指した治療を行う必要があります。

皮膚悪性腫瘍の治療では外科的な切除が中心となりますが、腫瘍の広がり方や種類によっては手術治療だけではなく、抗癌剤を使用する化学療法、免疫療法、時に放射線療法を併用する必要があります。皮膚科との連携のもと、これらの補助療法についても必要に応じて適宜行っております。

悪性腫瘍の治療は長期間にわたります。治療が完了しても、その後再発しないかどうか定期的に経過を観察していく必要がありますし、万が一再発が確認された場合にはさらに追加治療が必要になります。それらの全過程を通じて患者さまのサポートをしていきたいと、われわれは考えています。

主な業績

  • *Mori H Kanda E, Okazaki M. Bottle Opener Flap for Medial Canthal Defect. Dermatologic Surgery 40: 1413-1415, 2014 *Tanaka K, Mori H, Okazaki M, Nishizawa A, Yokozeki H. Long-term treatment outcome after only popliteal lymph node dissection for nodal metastasis in malignant melanoma of the heel: the only "interval node" dissection can be an adequate surgical treatment. Case Reports in Oncological Medicine 2013: 259326, 2013
  • 梅田 整、横山明子,山本藤香, 江原亜希, 秦 維郎/ 基底細胞癌の統計 的検討. 日本形成外科学会会誌 2003; 23: 550-555
  • 森 弘樹、梅田 整, 菅野弘之,秦 維郎. 皮膚有棘細胞癌の予後についての検討. 日形成外科学会会誌 2003; 23: 95-99

診断、治療に関しては皮膚悪性腫瘍ガイドラインもご参照ください。