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子宮体がんのがん抑制遺伝子型マイクロRNA miR-152を同定FINDING / PRESS

平成23年度 東京医科歯科大学「難治疾患共同研究拠点」 共同研究「ゲノム・エピゲノム解析による新規婦人科がん関連遺伝子の網羅的探求とその分子機構の解明」(共同研究者:慶應大・医・助教 平沢 晃)による成果が、Cancer Res.にonline publicationされました。
 

子宮体がんのがん抑制遺伝子型マイクロRNA miR-152を同定

 

鶴田智彦 大学院特別研究学生 (難治疾患研究所分子細胞遺伝分野、慶應大学医学部産婦人科)
小崎健一 准教授、稲澤譲治 教授 (難治疾患研究所分子細胞遺伝分野)
平沢 晃 助教、青木大輔 教授 (慶應大学医学部産婦人科)

 
Tsuruta, T., Kozaki, K., Uesugi, A., Furuta, M., Hirasawa, A., Imoto, I., Susumu, N., Aoki, D. and Inazawa J.: miR-152 is a tumor suppressor microRNA that is silenced by DNA hypermethylation in endometrial cancer. Cancer Res., 2011 Aug 25. [Epub ahead of print].

 子宮体がんは欧米ならびに我が国においても増加傾向にあり、その病態の解明と治療、予防、診断法の開発は婦人科がん克服において重要な課題となっている。マイクロRNA (microRNAまたはmiRNA)は約22塩基の蛋白質をコードしない機能性低分子RNAであり、近年、がんにおけるその機能異常が注目されてきています。特にがん抑制遺伝子型miRNAは、その機能の回復やmiRNAそのものを補充することで、新しいがん治療法の開発が期待できることから注目されています。 今回の研究では、子宮体がんのがん抑制遺伝子型miRNAの探索を目的に、327種類のmiRNAの細胞増殖抑制効果を指標とした機能的スクリーニングを行いました。子宮体がん細胞株ならびに臨床検体を用いたDNAメチル化解析と発現解析を組み合わせることにより、子宮体がんで高頻度にDNA過剰メチル化により発現抑制を受けるmiRNAを絞り込むことで新規がん抑制遺伝子型miR-152を同定しました。また、miR-152の標的遺伝子としてE2F3、MET、ならびにRictorを明らかにしました。さらに、マウスに皮下移植した子宮体がんの腫瘍形成がmiR-152の投与によって抑制されたことから、新規がんRNA創薬への可能性が示されました。

本研究は、平成23年度 東京医科歯科大学「難治疾患共同研究拠点」 共同研究「ゲノム・エピゲノム解析による新規婦人科がん関連遺伝子の網羅的探求とその分子機構の解明」(共同研究者:慶應大・医・助教 平沢 晃)により実施された。
 
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