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MC4R欠損マウスを用いた新しい非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルの確立FINDING / PRESS

小川教授、菅波准教授らの難治疾患共同研究の成果がAmerican Journal of Pathologyに掲載されました。
 

MC4R欠損マウスを用いた新しい非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルの確立

 

小川佳宏教授、菅波孝祥准教授(難治疾患研究所 分子代謝医学分野)
寺井崇二准教授(山口大学大学院医学系研究科)

 
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)はメタボリックシンドロームの肝臓における表現型と考えられており、肝硬変や肝癌に進展する重症型です。肥満の程度が比較的軽い本邦においても、近年、NASHの患者数の増加傾向が認められますが、NASH発症の分子機構は十分に解明されていません。これは肥満やインスリン抵抗性などの代謝障害と肝線維化の双方を発症するモデル動物が存在しなかったことによります。本研究では、中枢性摂食調節に重要な役割を果たすメラノコルチン4型受容体(MC4R)の欠損マウスに高脂肪食を負荷することにより、肥満の内臓脂肪組織における慢性炎症により遊離脂肪酸が過剰に放出され、ヒト肥満症患者と同様の糖脂質代謝障害、肝臓の異所性脂肪蓄積(脂肪肝)からNASH様肝病変、多発性の肝細胞癌を発症することが明らかになりました。本マウスは、肥満を背景として発症するNASHの病態解明、新規治療標的の探索、薬効評価に有用なモデルであると考えられます。

本研究は、平成23年度「難治疾患共同研究拠点」共同研究「脂肪肝メダカおよびマウスを用いた代謝系難治疾患病態解明に関する研究」(共同研究者:山口大・医・准教授 寺井崇二)により実施されました。
 
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