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DNA修復タンパク質・Ku70はハンチントン病の神経変性を抑制するFINDING / PRESS

平成23年度 東京医科歯科大学「難治疾患共同研究拠点」 共同研究:岡澤教授、田村助教らの難治疾患共同研究の成果がPLoS ONE(オンライン版)に掲載されました。
 

DNA修復タンパク質・Ku70はハンチントン病の神経変性を抑制する

 

岡澤均教授、田村拓也助教 (難治疾患研究所神経病理学分野)
岩坪威教授(東京大学大学院医学系研究科)

 
ハンチントン病は認知症と不随意運動を特徴とする遺伝性脳疾患で、白人では100,000人に5-10人、アジア人ではその数10分の1の患者さんがいると言われています。アルツハイマー病あるいはパーキンソン病と同様にいわゆる神経難病であり、1990年代に原因遺伝子ハンチンチンが発見されていますが、神経細胞変性につながる分子メカニズムについては未解明な部分が多く、有効な治療法も確立されていません。本研究グループでは、タンパク質相互作用の網羅的解析から、変異型ハンチンチンがDNA修復タンパクKu70と結合することを見いだしました。変異型ハンチンチンはDNA修復機能を阻害しますが、Ku70を補充するとモデルマウスの病態が改善しました(Journal of Cell Biology 2010)。本研究では、この所見を再度検証し将来の治療薬開発の根拠を確かなものにする為に、Ku70補充の病態改善効果をハンチントン病モデルショウジョウバエにおいて検討しました。その結果、寿命短縮・複眼変性といった病態を顕著に改善することが明らかになりました。以上のことから、Ku70をターゲットとする分子標的治療の可能性が高まりました。

本研究は、平成23年度「難治疾患共同研究拠点」共同研究「核酸結合蛋白質を標的とした神経変性疾患研究:ショウジョウバエモデルを用いた解析」(共同研究者:東大院・医・教授 岩坪威)により実施されました。
 
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