研究成果(医療者向け)

COVID-19診療に従事する医療関係者の直面しているストレスに関連する危険因子を同定

2021.03.25

【ポイント】

  • COVID-19 診療に従事する医療関係者の精神的・社会的負荷を、今回の研究に先行して開発したパンデミック関連ストレスの評価尺度Tokyo Metropolitan Distress Scale for Pandemic (TMDP)により評価し、その危険因子を同定しました。
  • うつ状態や不安など精神的不調やTMDPで測定したパンデミック関連ストレスに共通する危険因子として、「年齢が高い」や「女性」が示されました。
  • TMDP を用いることにより、医療関係者のパンデミック関連ストレスの危険因子として「家族等との同居」が検出されました。
  • 精神的不調だけでなく、個人の生活状況・社会的ストレスにも配慮することにより、医療関係者のモチベーションを維持し、COVID-19 診療の安定した医療体制が可能になることが期待されます。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科精神行動医科学分野の高橋英彦教授、松本有紀子助教、藤野純也助教、国際健康推進医学分野の藤原武男教授、保健管理センターの平井伸英准教授の研究グループは、今回の研究に先行して開発した評価尺度Tokyo Metropolitan Distress Scale for Pandemic(TMDP)を用いて、COVID-19 診療に従事する医療関係者のストレスに関連する危険因子を同定しました。この研究の研究成果は、国際科学誌Journal of Psychiatric Research に、2021 年3 月6 日オンライン版で発表されました。

田中雄二郎学長メッセージ

新型コロナウイルス感染に正面から取り組む
―大学基金へのご協力のお願い―

全世界が新型コロナウイルス感染という危機に直面しています。これは世界の4 人に1 人が感染し、5000 万人が死亡したスペイン風邪以来の大規模パンデミックとも言われており、大きく世の中を変えることになると思います。
大学自体も、卒業式、入学式が相次いで中止となり、教育はe-ラーニング、研究もコロナウイルス感染関連以外は最低限となり危機的状況です。
もともと、本学は「知と癒しの匠みを創造し人々の幸福に貢献する」という理念を掲げています。
この理念に基づき、東京に位置する医系国立大学としてこの危機に正面から取り組むのは使命だと考えて行動を開始しました。

新型コロナウイルス感染克服を最優先に

新型コロナウイルス感染克服への取り組みを最優先課題としました。
大学病院は高度先進医療を優先すべきだという議論もあります。しかし感染爆発の状況に至れば、そのような姿勢は社会的に許容されないだろうと考え、3月初旬から準備を開始しました。
診療面では、医学部附属病院がこの前面に立ち、集中治療室全体を陰圧化するなどの改装や、病院前に検体採取用テントを設置するなどのハード面の改修を行いました。また、新たに20台の人工呼吸器を購入し、ECMO(人工肺)5台、人工呼吸器82台の体制を敷いて多くの重症患者様の治療に当たっています。
ソフト面では、多くの研究者たちの応援のもと院内感染ゼロを維持するため入院患者様およびコロナウイルス対応職員の院内PCR検査体制を実施しています。また、コロナウイルス感染拡大防止の観点から医学部および歯学部附属病院の通常診療も大幅縮小し、患者様にはご迷惑をおかけしつつ、そのスタッフたちがコロナウイルス対応スタッフの応援に回っています。

このような本学の取り組みの結果、全国でも有数の新型コロナウイルス感染者の治療に当たることができ、その社会貢献を評価して頂き、防護服の寄附や弁当の差し入れなどを頂戴することが出来ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

しかしながら、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるために、皆様のご支援を重ねてお願い申し上げる次第です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いることが出来ますよう使途も明らかとして、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。
宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。

東京医科歯科大学 学長 田中雄二郎

新型コロナウイルス対策基金にご協力ください

東京医科歯科大学は、新型コロナウイルス感染症に正面から立ち向かっています。そのため、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるためには、皆様のご支援が必要です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いるよう、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。