コホート研究 「神奈川ひざスタディ」

神奈川ひざスタディの成果

神奈川ひざスタディから得られた研究成果をご紹介します。3次元MRI画像やレントゲン写真を用いて、膝(ひざ)の軟骨、半月板の変化を調べた論文等を掲載しています

3次元MRIでみた膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)の軟骨の特徴

神奈川ひざスタディ登録者(膝の症状で連続3カ月以上病院を受診していない)561名を対象に、膝のお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)と大腿骨の間の関節を3次元MRIで調べました。その結果、膝蓋骨の表面を覆う軟骨に欠損がある人は37人(6.6%)で、外側より内側に多くみられました。3次元MRIにより、膝蓋骨軟骨の欠損の頻度や場所、広がり方を立体的に把握できることを示した研究です。

タイトル:Morphological analysis of three-dimensional MR images of patellofemoral joints in asymptomatic subjects

学術誌:Scientific Reports

掲載時期:2023年10月5日

doi:10.1038/s41598-023-42404-7

70代女性では、脛骨(けいこつ)の軟骨欠損が半月板に接して広がる

神奈川ひざスタディに登録された70代女性45名を対象に、3次元MRIで、すねの骨である脛骨(けいこつ)の関節面を覆う軟骨を調べました。軟骨欠損がみられた11膝では、欠損は内側の中央外寄りに多く、いずれも内側半月板の端から離れずに広がっていました。脛骨の軟骨欠損が、半月板との位置関係を保ちながら進行することを示した研究です。

タイトル:Three-dimensional MRI shows cartilage defect extension with no separation from the meniscus in women in their 70 s with knee osteoarthritis

学術誌:Scientific Reports

掲載時期:2022年3月10日

doi:10.1038/s41598-022-08092-5

膝レントゲン写真の内側脛骨(けいこつ)骨棘(こつきょく)は、半月板逸脱をよく反映する

神奈川ひざスタディに参加した30〜79歳の527名を対象に、膝レントゲン写真で測定した内側脛骨骨棘(加齢や変形によって骨の縁にできる出っぱり)の幅と、MRIで評価した半月板逸脱(半月板が外側へずれること)との関係を調べました。その結果、骨棘の幅は軟骨の厚さよりも、内側半月板逸脱の程度を強く反映していました。一方、膝レントゲン写真で測定した関節のすき間の幅は、半月板逸脱よりも軟骨の厚さをよく反映していました。膝レントゲン写真から読み取れる情報の意味をMRIで確認した研究です。

タイトル:Medial Tibial Osteophyte Width Strongly Reflects Medial Meniscus Extrusion Distance and Medial Joint Space Width Moderately Reflects Cartilage Thickness in Knee Radiographs

学術誌:Journal of Magnetic Resonance Imaging

掲載時期:2022年9月

doi:10.1002/jmri.28079

膝レントゲンのKL分類は、MRIで見える膝の構造変化と関連する

人工知能(AI)で判定したケルグレン-ローレンス(KL)分類と、3次元MRIで測定した半月板逸脱や軟骨厚との関係を調べました。KL分類が高い(変形性膝関節症が進んでいる)ほど、半月板逸脱や軟骨の変化が大きくなる傾向が示されました。従来のKL分類が、実際の膝の構造変化をどの程度反映しているかを、MRI解析で確認した研究です。

タイトル:Association of AI-determined Kellgren-Lawrence grade with medial meniscus extrusion and cartilage thickness by AI-based 3D MRI analysis in early knee osteoarthritis

学術誌:Scientific Reports

掲載時期:2023年11月16日

doi:10.1038/s41598-023-46953-9

3次元MRIの自動解析で、半月板逸脱と軟骨欠損の関連を明らかにした

3次元MRIから膝の軟骨と半月板を高い精度で自動抽出する解析ソフトを開発しました。神奈川ひざスタディに参加した561名のデータを用いて、内側半月板の逸脱と軟骨欠損との関係を調べました。その結果、内側半月板の逸脱が大きいほど、脛骨(すねの骨)の軟骨欠損が大きい傾向が示されました。

タイトル:Relationship between medial meniscus extrusion and cartilage measurements in the knee by fully automatic three-dimensional MRI analysis

学術誌:BMC Musculoskeletal Disorders

掲載時期:2020年11月12日

doi:10.1186/s12891-020-03768-3

膝を伸ばした写真と曲げた写真の差は、半月板逸脱を反映する

神奈川ひざスタディに参加した30〜79歳の527名を対象に、膝を伸ばした状態のレントゲン写真と、膝を少し曲げた状態で撮影するローゼンバーグ撮影による写真を比較しました。その結果、2つの撮影方法で測定した内側関節裂隙幅(膝の内側のすき間の幅)の差は、軟骨の厚さよりも半月板逸脱と強く関連していました。膝レントゲン写真で見える関節のすき間は、撮影方法によって異なり、その違いには半月板のずれが関係することを示した研究です。

タイトル:Difference in the joint space of the medial knee compartment between full extension and Rosenberg weight-bearing radiographs

学術誌:European Radiology

掲載時期:2022年3月

doi:10.1007/s00330-021-08253-6

大腿骨(だいたいこつ)の軟骨欠損は、半月板逸脱や脛骨病変と関連して広がる

神奈川ひざスタディに参加した女性277名のうち、大腿骨の軟骨欠損がみられた17膝を対象に、3次元MRIで欠損の場所と広がり方を調べました。その結果、11膝では大腿骨の軟骨欠損の外側の縁が、内側半月板の内側の縁と重なるように位置していました。また、15膝では脛骨の軟骨欠損が、大腿骨の軟骨欠損と向かい合う位置にみられました。大腿骨の軟骨欠損が、半月板や脛骨側の軟骨変化と関連して広がることを示した研究です。

タイトル:Femoral cartilage defects initiate from medial meniscus extrusion or tibial cartilage lesions and expand in knee osteoarthritis as revealed by 3D MRI analysis

学術誌:Scientific Reports

掲載時期:2024年10月29日

doi:10.1038/s41598-024-76725-y

変形性膝関節症のない膝でも、女性は男性より軟骨が薄い部位がある

神奈川ひざスタディのうち、膝レントゲン写真で変形性膝関節症を認めない306膝(女性138膝、男性168膝)を対象に、3次元MRIで軟骨の厚さを調べました。身長で補正しても、女性は男性に比べて大腿骨や脛骨の一部で軟骨が薄いことが示されました。一方、膝蓋骨や脛骨外側部では男女差はみられませんでした。正常に見える膝でも、軟骨の厚さには男女差があり、その違いは部位によって異なることを示した研究です。

タイトル:Regional dependency of sex differences in height-adjusted knee cartilage thickness in KL0 knees using 3D-MRI

学術誌:Journal of Orthopaedic Science

掲載時期:2025年11月

doi:10.1016/j.jos.2025.04.014

早期の変形性膝関節症でも、内側半月板断裂はみられる

神奈川ひざスタディに参加した30〜79歳の469名を対象に、MRIで内側半月板断裂の頻度と種類を調べました。その結果、内側半月板断裂は85名(18.2%)にみられ、複雑断裂(複数の方向に入る断裂)と水平断裂(半月板を上下に分けるように入る断裂)が多く認められました。断裂の頻度は、KL分類(膝レントゲン写真で変形性膝関節症の進み具合を示す分類)が高いほど、また内側半月板逸脱(内側半月板が関節のすき間から内側にはみ出すこと)が大きいほど高くなりました。変形性膝関節症の早い段階から、半月板の状態を評価することが重要であることを示した研究です。

タイトル:Medial meniscus tears in early-stage medial knee osteoarthritis: Prevalence and type in a Japanese cohort

学術誌:Journal of Orthopaedic Science

掲載時期:2026年1月

doi:10.1016/j.jos.2025.06.010