来院される方へ

糖尿病教育入院

2型糖尿病、1型糖尿病、遺伝性糖尿病、妊娠糖尿病の患者さんなどを対象として、糖尿病療養指導士(看護師、管理栄養士、薬剤師)を中心とするスタッフと連携して年間300名以上の糖尿病入院患者の診療を行っています。1~2週間の教育入院プログラムを準備し、患者さんの病状やスケジュールに合わせて柔軟に対応しています。

患者教育

看護師による生活指導およびインスリン自己注射指導、管理栄養士による栄養指導(集団および個人栄養指導)、薬剤師による服薬指導や糖尿病教室などを通して糖尿病に関する知識を深めていただき、自己管理能力の向上に取り組んでいます。当院では患者さんに充実したケアを行えるよう医療スタッフの育成にも力を入れています。糖尿病治療における生活指導のエキスパートである日本糖尿病療養指導士は23名(2019年)在籍しております。

入院中の主な検査

糖尿病の合併症には網膜症、腎症、神経障害といった細小血管障害と心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった大血管障害があり、入院中にこれらの合併症をすべて評価します。入院中に見つかった合併症に関しては、他の診療科と連携して治療を行っています。

また、膵臓からは血糖を下げるインスリンホルモンが出ていますが、患者さんの膵臓からどれぐらいインスリンが分泌されているのかを蓄尿検査によって評価します。膵臓の疾患があると、このインスリン分泌が障害されて高血糖をきたすことがあります。高齢者の方では血糖の急激な上昇の裏に膵臓癌が隠れていることもありますので、検査の結果に応じて、CT検査などを施行致します。

入院中の治療

入院中は、患者さんのニーズや治療目標を踏まえて、糖尿病専門医が最適な医療を提供致します。糖尿病薬は現在50種類以上と多様な選択肢がありますが、患者さん個人の病態に応じたきめ細やかな治療を行っています。入院中に投薬内容を患者さん自身に最も合ったものに変更調整することで長期かつ良好な血糖コントロールを実現します。血圧やコレステロール、肥満も動脈硬化の進行に影響するため、これらに対しても包括的に介入し、患者さんの生活の質および健康寿命の確保を目指しています。

また1型糖尿病や、血糖が不安定な2型糖尿病の患者さんに対しては、24時間持続血糖モニタリング(CGM)を利用して最適なインスリン調整を行います。1型糖尿病の患者さんに対しては、カーボカウント指導、インスリンポンプ治療(CSII)やセンサー補助型インスリンポンプ(SAP)の導入などを積極的に取り組んでいます。当診療科では医療連携も積極的に取り組んでいます。周辺施設より治療方針の決定や教育入院を目的に御紹介頂いた場合には、評価・退院後に紹介元で治療継続いただけるよう逆紹介を推進しています。

内分泌検査入院

高血圧や糖尿病、肥満の裏には内分泌疾患が隠れていることも少なくありません。内分泌検査入院では、さまざまな負荷試験(ホルモンを刺激ないし抑制する薬剤を投与して分泌動態を正確に把握する検査)を行うことによって内分泌疾患の診断を確定します。入院期間は、疾患によって異なりますがおおよそ1週間程度です。副腎疾患に関しては泌尿器科と、下垂体疾患に関しては脳神経外科と、膵神経内分泌腫瘍に関しては肝胆膵外科とそれぞれ連携して診療を行い、診断、治療および治療後のフォローアップまで一貫して当院で行うことが出来ます。

副腎疾患

糖尿病の合併症には網膜症、腎症、神経障害といった細小血管障害と心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった大血管障原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、副腎偶発腫瘍、副腎癌、アジソン病、先天性副腎皮質過形成などが対象疾患になります。副腎腫瘍については、当科と泌尿器科、放射線科、病理部の連携下に副腎腫瘍治療ユニットを形成しており、当科は副腎腫瘍の手術前の診断および手術後のフォローアップを担当しています。各種負荷試験の結果から解釈されるホルモン分泌動態と、画像診断による良悪性の判定を総合的に考慮して治療方針を決定しています。
本態性高血圧の10%程度を占めるとされる原発性アルドステロン症の診療に特に力を入れており、年間70~95症例の新規入院患者を診療しています。原発性アルドステロン症の治療方針(手術・薬物療法)決定には副腎静脈サンプリングによる正確なアルドステロン過剰産生部位の診断が必須です。当院では高い成功率(年間30~45症例)により、信頼性の高い診療実績をあげています。

視床下部・下垂体疾患

下垂体腫瘍、クッシング病、先端巨大症、プロラクチノーマ、視床下部・下垂体機能低下症、尿崩症、SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)などが対象となります。負荷試験によってホルモン分泌動態を評価し、正確な診断および治療方針の決定を行っています。下垂体腫瘍については、脳神経外科との緊密な連携の下、手術前の診断および手術後のフォローアップを担当しています。

膵神経内分泌腫瘍

神経内分泌腫瘍の専門外来を開設している肝胆膵外科と連携し、主に手術前のホルモン評価を担当しています。インスリノーマやガストリノーマなどの疾患に関しては、各種内分泌検査と画像診断に加えて、放射線科の協力の下で選択的動脈内カルシウム注入試験による正確な機能・部位診断を行っています。
また、膵神経内分泌腫瘍はまれに多発性内分泌腫瘍症(MEN)という特殊な遺伝性疾患に合併することがあります。MENが疑われる場合、患者さんの希望に応じて、当院の遺伝子診療科で遺伝子検査やカウンセリングなどを受けることが出来ます。