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教養部について

教養教育とは

「教養教育」という概念には2とおりの系譜があります。

  1. リベラル・アーツ Liberal Arts
     リベラル・アーツは、西欧中世の大学における学芸学部(哲学部)で教えられていた、七自由学芸(文法・修辞・論理・算術・音楽・幾何・天文学)を原型としています。学芸学部は、神学部、法学部、医学部という専門養成の機能を持つ3学部の下に置かれていましたから、この自由学芸は、成り立ちからして専門職教育と対立する要素をもっています。それは、それ自体で人間性を豊かにするための市民の教養として完成されたものだったのです。
     しかし、西欧中世において、大学は教会・世俗の要職を占める者を養成する機関でした。したがって、ここでの教育も、労働に携わる必要のない特権的な一部の自由市民のための教育という側面を持っていました。
  2. ジェネラル・エデュケーション General education
     リベラル・アーツ概念がもつこうした負の側面は、日本においても、戦前の旧制高校におけるエリート教育と無縁ではありませんでした。その批判の上に立って、戦後民主主義における、教育の機会均等、高等教育の門戸開放と結びついて導入されたのがアメリカ起源の「ジェネラル・エデュケーション(一般教育)」です。
     戦後アメリカにおいても『自由社会における一般教育———ハーバード委員会報告』がバイブル視され、国民を共通に結ぶ教育としての一般教育を大学の中で組織しようとする機運が高まりました。日本においても一般教育は「基本的人権に基づく自由と平等とを享有する全ての庶民に普く妥当する」(大学基準教会『大学における一般教育』昭和26年)教育として構想されたのです。

 戦後、この2つの概念の混同は教養教育理念の混乱も招きましたが、現在、東京医科歯科大学教養部が目指す「教養教育」とは、上記2つの意味での教養教育、すなわち、市民社会の一員を養成するための教育という「一般教育」と、人間性豊かな自由な市民を育てるための「リベラル・アーツ」の2つを融合させたものであるとわれわれは考えています。
 また、医療人の育成という観点からは、これに加えて専門の基礎となる科目の教育も必要です。教養部では、上に述べた教養教育と、専門基礎教育を両立させた教育を目指しています。