薬剤部長より

 東京医科歯科大学病院薬剤部のホームページにお越しいただき、ありがとうございます。薬剤部長の永田将司です。2023年4月1日に着任してから、早いもので1年が経過しました。着任時の挨拶においても触れましたが、「働きがい日本一」を目指してこの1年間で様々な取り組みや改革を実施してまいりました。私たちはまだ「日本一」に至る道の途中ですが、私自身も薬剤部も一歩ずつ着実に成長していきたいと考えております。

 この1年を振り返りますと、新年度開始時に、所信表明演説、薬剤部理念及び基本方針の策定、そして年度目標の設定を行いました。その後、全薬剤部員に対するヒヤリングを実施し、現在の薬剤部の問題点を明確にしました。これをもとに、薬剤部運営に薬剤部員の意見を反映させるため、働き方改善、教育、業務改善などを目的とした複数のワーキンググループ(WG)を設置しました。これらのWGからはすでに様々な提案を受けており、それらを薬剤部運営に反映しております。さらに、各部員が関心を持つ専門分野の知識および技能を向上させるために、複数の専門チーム(がん、感染、周術期、小児、スポーツファーマシストなど)を設置しました。これらのチームは定期的に勉強会を開催するなど、部員の専門性の向上に大いに貢献しております。

 薬剤部業務の基本的な考え方は、着任時から変わらず徹底的な中央部門(調剤業務等)のスリム化と、病棟業務・チーム医療の拡大です。昨年度は、薬剤師が担っていた事務作業を効率化するため、事務補佐員2名を新たに採用しました。また、今年度はスマートフォンを用いた薬剤鑑別システムを導入することが決まっております。これにより、入院時の持参薬鑑別の効率化が見込めます。さらに複数の調剤支援機器の導入も検討しております。

 教育面では、既存の教育プログラムに沿った指導を続ける一方で、教育WGから提案された「メンター制度」を今年度より導入することになりました。これにより、新入職員の進捗管理が容易になるだけでなく、メンタル的なフォローも行っていく予定です。

 研究面では、数年前から取り組んでいる「機械学習による薬物の効果および副作用予測」の研究について、昨年度中に論文を一つ発表することができました。この研究成果は、第81回国際薬剤師・薬学連合国際会議(FIP2023)でポスター賞を受賞するなど、国内のみならず海外でも注目を集めております。

 今年度も、薬剤部が掲げる理念「世界最高水準の医療を支える薬物療法を提供し、人々の幸福に貢献する」の実現に向けて、薬剤部職員一同努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

令和6年4月1日

薬剤部長・病院教授 永田将司