ごあいさつ

宗田教授

東京医科歯科大学大学院運動器外科学のホームページをようこそ訪れて下さいました。
大学院運動器外科学は東京医科歯科大学医学部整形外科を母体にした大学院の分野です。2つの大学院教室を持っているのは、日本の数多い医学部の中で医科歯科大学のみの特徴です。

私が2000 年4月からその教室の1つである運動器外科学を主宰しています。医学部整形外科は四宮謙一教授(大学院整形外科学分野)が運営しておりますので、私の教授としての仕事は、私の大学院を選択してくれた先生方に、よりよい研究、臨床の教育環境を与え、実践することにあります。

私は昭和54年大学卒業後5年目から、専門班である「膝足班」に入班しました。その選択理由は昭和58年ころ、今から20年以上前ですが、現在も膝スポーツ障害の花形である「前十字靱帯損傷」がようやく脚光を浴び始めたころでした。膝スポーツの専門をめざす先生方は若々しく、非常に活動的で、自由な雰囲気に満ちており、とても魅力的でした。 私のその後の研究活動が、前十字靱帯損傷周辺にあり続けたことは、その時点での選択が迷いのないものであり、その後の私の整形外科医としての生き様を決定づけたといえます。 その治療を通じて、関節外科、関節疾患、さらには整形外科について数多く学んできました。

整形外科は外科のため、どうしても外科手術で治療することに目的が偏りがちです。形の異常を正すことで痛みの治療を行おうとしがちです。しかしなぜ形を正すことで痛みを取れるのでしょうか。またそもそも関節の痛みとは、どこから来るものなのでしょうか。もう一度関節の痛みのメカニズムに立ち戻って、整形外科の治療を考え直す時期にもきていると思います。

関節の痛みは関節と関節周囲組織、またそれらを支える支持組織から成り立っています。それらを取り巻く環境の中で、痛みを感じる神経が、痛み刺激を感じて反応するのが、関節の痛みです。関節組織の代表である「軟骨」自体に痛みを感じる神経が存在しないことは、整形外科の常識です。しかしその割には、軟骨が磨耗することを関節炎の原因として結びつけ、関節痛メカニズムとしている。整形外科はそんな治療に終始していないでしょうか。

私の感じるところでは、関節痛もいろいろな部分の痛みの総体であると思っています。悪循環や易刺激性が関節の痛みを強くします。まず関節部痛のメカニズムを、痛みを発している局所から明らかにしてから、その部分の疼痛コントロールを行っていきたいと思っています。易刺激性には組織の脆弱性や易炎症性が関係しているようですが、これらの素因を明らかにすることには大規模な網羅的な基礎研究が必要でしょう。

一方運動器外科学では、現在先端的な技術である組織工学的な手法を駆使して整形外科的な問題の解決を試みています。関矢一郎助教授は大学院卒業後、骨髄間質細胞を用いた治療・基礎的研究の権威であるアメリカのProckop教授の下で骨髄間質細胞を用いた軟骨細胞分化の研究に着手し、数々の成果を上げました。帰国後この運動器外科学に在籍し、多くの大学院生とともに研究を継続しています。軟骨分化の成果は近々臨床応用へと結びつきそうです。さらに骨髄細胞ばかりでなく、種々の組織から幹細胞を分離し、組織工学的な手法を生かし、靱帯再建術の治癒促進、肩関節の再建など治療発展の可能性を追求しています。

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