Department of Pathological Cell Biology

細胞:Atg5/Atg7非依存性の新規マクロオートファジー機構の発見

Discovery of Atg5/Atg7-independent alternative macroautophagy

マクロオートファジーはオートファゴソーム/オートリソソームの形成を介して細胞内構成成分を分解する機構である。これまでは、Atg5やAtg7は哺乳類のマクロオートファジーに必要不可欠の分子であると信じられてきたが、今回我々はAtg5あるいはAtg7を欠損したマウス細胞においても、種々のストレス刺激によりオートファゴソーム/オートリソソームが形成され、それを介したタンパク質分解が実行されることを発見した。

Microtubule-associated protein light chain 3(LC3、別名Map1lc3a)の脂質化によるLC3-IIの形成は、これまでマクロオートファジーの良い指標と考えられてきたが、Atg5/Atg7非依存性の新規マクロオートファジーにおいてはLC3-IIの形成は見られなかった。新規マクロオートファジー機構は、Ulk1(Unc-51-like kinase 1)やBeclin 1などのオートファジー関連タンパク質によって制御された。また、新規マクロオートファジーは従来型のマクロオートファジーと異なり、Rab9依存的に隔離膜がトランスゴルジや後期エンドソーム由来の小胞と融合することにより実行されていた。In vivoで、Atg5非依存性新規マクロオートファジーは複数の胎児組織で検出された。また、赤血球の成熟過程におけるミトコンドリアの除去においても機能していた。以上の結果は、哺乳類のマクロオートファジーには少なくとも2つの異なる経路、Atg5/Atg7依存的な従来型のマクロオートファジー経路とAtg5/Atg7非依存的な新規マクロオートファジー経路が存在することを示すものである。