Department of Pathological Cell Biology

教授挨拶

 当研究室では、種々の疾患や病態への応用を前提に、細胞死機構、オートファジー機構の解析とミトコンドリア機能解析を3つの柱として研究を行っています。細胞死とオートファジーは、我々の体の中で不断に起こっており、生命の発生や維持に必須の細胞機能です。どちらの細胞機能も、細胞にストレスが加わる事で誘導され、広汎な生命現象に関わっています。従って、細胞死制御機構やオートファジー制御機構が破綻すると、癌や自己免疫疾患をはじめとする様々な疾患に陥ることになります。当研究室では、細胞死とオートファジーを一つの生体応答システムとして捉え、哺乳動物個体の中でこのシステムが如何に機能しているか、システムの不具合により如何なる疾患が惹起されるかを探索しています。 また、ミトコンドリアはエネルギー産生器官として生に貢献するとともに、細胞死にも不可欠なオルガネラです。その機能異常はパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患や心筋梗塞などの虚血疾患に深く関わっており、最近では老化との関連も指摘されています。我々は、ミトコンドリアと細胞質との情報交換の場であるミトコンドリア膜に着目しており、ミトコンドリア膜を介する情報交換のメカニズム、ミトコンドリア膜の異常に由来する疾患の病態解明を目指しています。また、これらの知見を統合することにより、生命の動作原理の本質を解明したいと考えています。

東京医科歯科大学 難治疾患研究所
病態細胞生物学 教授 清水重臣