当院看護師3名(東京科学大学病院看護部)が東京大学医学部附属病院・臓器移植医療センターで移植医療に関する研修を受講 ②
2024.11.21
2024年9月、東京科学大学病院看護部では、移植実施指定施設の認定をめざして、臓器移植に必要な看護について学ぶため、東京大学医学部附属病院の臓器移植医療センターに7名の看護師を派遣しました。今回の研修に参加した看護師3名に感想を聞きました。(研修①の記事はこちらからご覧ください)
杉浦 尚美 看護師
感染管理指導や免疫抑制剤の内服管理など移植医療の特色を知る
今回の研修では、9月5日に移植コーディネーターの方から全体オリエンテーションと移植の流れについて説明を受けました。翌日の9月6日には、重症心不全センター病棟で1日研修を行い、病棟案内や移植患者さんのICU帰室の見学をしました。午前中には「人工心臓管理技術認定士」のスタッフから、午後には師長さんから病棟マニュアルやスタッフの動きについての説明と指導をいただきました。
移植医療の実際の流れについて具体例を交えて説明していただいたことで、全体の流れのイメージがつきました。また、実際に病棟に行かせていただいたことで、術前術後の患者さんやご家族への関わりや確認事項が具体的にイメージできました。スタッフが患者さんの看護にあたる際には、病棟マニュアルや患者指導パンフレットの作成が必要であると感じました。特に、感染管理指導や免疫抑制剤の内服管理には特色があり、統一した手順が必要であると改めて認識しました。
移植後のICU退室見学では、術後の患者さんの顔色の良さやドレーンの少なさに驚き、印象に残っています。患者さんが「手がとても暖かい」と発言され、看護師との「ペースメーカーも、もうないので手帳は記念に持ち帰ってください」という会話が特に印象的でした。
今後は、病棟スタッフとしての関わりや必要なことを、他のワーキンググループの方々に確認しながら進めていきたいと思います。業務的な点ではチェックリストやパンフレットの作成を進め、学習としては移植全体と特に薬剤の知識や感染管理を意識していきたいです。
高安 純也 看護師
移植医療スタッフの育成やフォローが非常に重要
今回の研修では、初日に移植医療についての知識や現状、そして東大病院での取り組みについて詳しく説明を受けました。特に、実際の動きや体制についての説明は非常に興味深く、移植医療の現場をより具体的に理解することができました。2日目には手術室での見学があり、東大病院での移植手術の体制や流れ、使用している物品や準備の方法について詳しくお話を伺いました。スタッフの体制についても知ることができ、移植手術がどのように行われているのかを具体的にイメージすることができました。
手術室では、臓器摘出チームや移植手術で実際に使用している物品、チェックリスト、マニュアルを用いて説明を受けました。これにより、移植手術の流れをより具体的にイメージすることができました。東大病院は移植手術の件数が多く、スタッフの育成やフォローが非常に重要であると感じました。
今後は、マニュアル作成や体制の整備に加えて、スタッフに向けて移植医療について考える場を設けたり、情報を発信したりしていきたいと考えています。移植医療の現場での経験を活かし、より良い医療提供に貢献できるよう努めていきたいと思います。
米丸 美穂 看護師
移植医療のやりがいや使命感を実感
私は東大病院で心臓移植看護の実践を見学する機会を得ました。一般病棟での移植看護や移植コーディネーターの役割と業務を学ぶ中で、特に印象に残ったのは、心臓移植に関わる看護スタッフの皆さんが「移植は患者さんが元気になる姿を見ることができる」と話されていたことです。実際に移植を受けた患者さんとお話しする機会もあり、自宅で元気に生活し、社会復帰も果たしていると伺いました。明るく話していただいた患者さんの姿が心に残っています。
心臓移植は、以前から東京科学大学病院でも行ってきたVAD(補助人工心臓)治療と深い関係があります。VAD治療は、心臓のポンプ機能が低下した患者さんに対し、機械的に血液を循環させる装置を用いる治療法です。VADは心臓移植までの橋渡しとして使用されることが多く、患者さんの生活の質を向上させる重要な役割を果たしています。しかし、心臓移植にはVADとはまた違った大変さや繊細さがあることも学びました。特に、VADとの生活を続けてきた患者さんだからこそ、移植後の自己管理が継続できるという強みがあることを理解し、この学びを患者さんにも伝えていきたいと思っています。
研修を通して、移植の立ち上げが大変であることを改めて実感しましたが、同時にやりがいや使命感も感じることができました。今後、移植コーディネーターを目指すことになりますが、これまでのVAD管理認定士としての経験と、自分の得意とする意思決定支援や多職種連携を活かして、医科歯科での心臓移植治療に貢献したいと考えています。