新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重症呼吸不全治療に関する同意説明の現状調査
―当事者である患者と家族が意思決定を迫られたとき―
2021.11.29
【ポイント】
- COVID-19による呼吸不全※1に対する治療を受けた患者において、治療方針に関して明確に意思表示※2ができたのは約1割であり、ほとんどのケースで患者の治療方針の決定をその家族が担っていたことが明らかとなりました。
- 患者に代わり治療方針に関する意思決定をした家族の半数は、患者の意向が分からない状態で判断しなければならない状況であったことが明らかとなりました
- 感染者急増による医療資源不足下での体外式膜型人工肺(ECMO)※3の優先順位付け「ECMOトリアージ※4」の考え方については、すべての患者と家族から特定の条件下において支持が得られ得る結果となりました。
東京医科歯科大学生命倫理研究センターの吉田雅幸教授、甲畑宏子講師の研究グループは、東京医科歯科大学病院に入院したCOVID-19重症呼吸不全患者とその家族を対象とし、1)治療に関する説明と同意(インフォームド・コンセント)の実態及び2)医療資源不足化でのECMOトリアージに対する患者・家族の意見を明らかにするため、2020年12月~2021年3月に質問紙調査を行い、患者17名、家族14名より回答を得ました。本調査結果は、日本生命倫理学会第33回年次大会(11月27日-28日)において報告されました。