研究成果(医療者向け)

クラウドファンディングプロジェクト
「世界初の腸呼吸で、呼吸に苦しむ患者さんを助けたい︕」

2021.06.01

大学を取り巻く環境が⽇々変わっていく中、更なる教育・研究の活性化のために、国からの運営交付⾦や競争的資⾦に加えて、様々な形での⽀援獲得が重要になってきております。その有⼒な⼿段としてクラウドファンディングを活⽤することで、各研究室の活動や大学の設備投資などに対する寄付⾦等を獲得する機会が拡がります。READYFORが業務提携を結んだ大学は、東京医科⻭科大学が33校目です。今回新たに⽴ち上げた「東京医科⻭科大学 × READYFOR」では、第一号として以下のプロジェクトを開始いたします。

【クラウドファンディングプロジェクト概要】

  • プロジェクトタイトル:「世界初の腸呼吸で、呼吸に苦しむ患者さんを助けたい︕」
  • ページUR:https://readyfor.jp/projects/takebelab
  • 実行者:武部貴則 / 岡部亮 / 大内梨江(武部研究室)
  • 目標金額︓1,000万円
  • 形式:寄付⾦控除型/All or Nothing ※All or Nothing形式は、期間内に集まった寄付総額が目標⾦額に到達した場合にのみ、実⾏者が寄付⾦を受け取れる仕組みです。
  • 公開期間:2021年5月15⽇(土)〜 6月30⽇(水)23時
  • 資⾦使途:呼吸補助治療法を目指す腸換気法の研究
  • 概要:
    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症患者さんなど、肺機能を大きく損なう患者さんの救済を目指し、補助的に循環・呼吸を助ける安全な新規循環呼吸補助法「腸換気法(※1)」の開発費を募ります。
  • 実施背景:
    多くの研究者にとって、資⾦獲得は研究開発を⾏う上で、重要な課題の一つです。当研究室でもこれまで様々な資⾦獲得努⼒をしており、2020、2021年度のAMED公募事業に採択され、予算配分を得ることになりました(※2)。しかし、前 臨床試験を含め、更なる腸換気法の研究を進めるには数億円の予算を要するにもかかわらず、来年度から⼗分な予算が確保されていません。そこで、クラウドファンディングにより本研究を実⽤化に導くための開発資⾦を募ります。

    ※1:腸換気法とは︓通常、血液や呼吸機能を司る肺が、ヒトの生命を維持する血液の「循環」及び酸素や⼆酸化炭素を出し入れする「呼吸」の働きを補助します。一方、どじょうなどの水棲生物は、低酸素環境において腸を利⽤して酸素を体内に取り込む、所謂腸呼吸を⾏っています。我々は、この腸呼吸を基に、呼吸不全に対する腸を介した新規補助療法「腸換気法」を開発しました。
    ※2:AMED医薬品プロジェクト︓腸換気法を⽤いたCOVID-19関連重症呼吸器合併症に対する治療薬開発

田中雄二郎学長メッセージ

新型コロナウイルス感染に正面から取り組む
―大学基金へのご協力のお願い―

全世界が新型コロナウイルス感染という危機に直面しています。これは世界の4 人に1 人が感染し、5000 万人が死亡したスペイン風邪以来の大規模パンデミックとも言われており、大きく世の中を変えることになると思います。
大学自体も、卒業式、入学式が相次いで中止となり、教育はe-ラーニング、研究もコロナウイルス感染関連以外は最低限となり危機的状況です。
もともと、本学は「知と癒しの匠みを創造し人々の幸福に貢献する」という理念を掲げています。
この理念に基づき、東京に位置する医系国立大学としてこの危機に正面から取り組むのは使命だと考えて行動を開始しました。

新型コロナウイルス感染克服を最優先に

新型コロナウイルス感染克服への取り組みを最優先課題としました。
大学病院は高度先進医療を優先すべきだという議論もあります。しかし感染爆発の状況に至れば、そのような姿勢は社会的に許容されないだろうと考え、3月初旬から準備を開始しました。
診療面では、医学部附属病院がこの前面に立ち、集中治療室全体を陰圧化するなどの改装や、病院前に検体採取用テントを設置するなどのハード面の改修を行いました。また、新たに20台の人工呼吸器を購入し、ECMO(人工肺)5台、人工呼吸器82台の体制を敷いて多くの重症患者様の治療に当たっています。
ソフト面では、多くの研究者たちの応援のもと院内感染ゼロを維持するため入院患者様およびコロナウイルス対応職員の院内PCR検査体制を実施しています。また、コロナウイルス感染拡大防止の観点から医学部および歯学部附属病院の通常診療も大幅縮小し、患者様にはご迷惑をおかけしつつ、そのスタッフたちがコロナウイルス対応スタッフの応援に回っています。

このような本学の取り組みの結果、全国でも有数の新型コロナウイルス感染者の治療に当たることができ、その社会貢献を評価して頂き、防護服の寄附や弁当の差し入れなどを頂戴することが出来ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

しかしながら、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるために、皆様のご支援を重ねてお願い申し上げる次第です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いることが出来ますよう使途も明らかとして、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。
宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。

東京医科歯科大学 学長 田中雄二郎

新型コロナウイルス対策基金にご協力ください

東京医科歯科大学は、新型コロナウイルス感染症に正面から立ち向かっています。そのため、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるためには、皆様のご支援が必要です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いるよう、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。