研究成果(医療者向け)

より効果的なリモートリハビリテーションを実現
「ウェアラブルシステム」の共同研究について

2020.05.28

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京セラ株式会社(社長:谷本 秀夫 、以下:京セラと国立大学法人東京医科歯科大学(学長:田中 雄二郎、以下:東京医科歯科大学)は、 血中酸素飽和度(SpO2などのバイタルデータを取得することのできるヘッドセット型ウェアラブルシステムを同大学循環器内科と共同で研究し、 2020年5月中旬より、東京医科歯科大学による臨床研究の準備を開始しました。

ヘッドセット型ウェアラブルシステムの調整をする東京医科歯科大学リハビリテーション 部の理学療法士

東京医科歯科大学のリハビリテーションの取り組み

現在、東京医科歯科大学医学部附属病院リハビリテーション 部 (以下リハビリテーション 部 では、 新型コロナウイルス感染症の 重症患者に対しては直接介入によるリハビリテーション治療を、 そして自立歩行可能まで回復した中等症患者にはリモートリ ハビリテーションを導入することで患者の早期回復を目指すとともに、 医療スタッフの感染リスクの低減、防護服やマスクなどの医療資源の節約に 貢献してきました。 リハビリテーション部部長の酒井朋子医師は「 リハビリテーション部が果たすこの役割の背景には、新型コロナウイルスに感染した患者は血栓症や脳梗塞を併発しやすいことから 、 感染症回復過程の早期からリハビリテーション治療を必要とすることがあります 」と説明します 。 リハビリテーション部の提案でスタートした新型コロナウイルス感染症患者へのリハビリテーション治療は、人と接する機会が少なかった患者にとって、筋力の回復だけではなく、ストレスの解消や心のケアにも繋がると、患者からも喜ばれています。

共同研究に至った経緯

東京医科歯科大学のこのようなリハビリテーション治療に対し、東京医科歯科大学医学部 附属病院循環器内科が、遠隔診療などへの活用を視野に京セラと共同で研究中であったヘッドセット型 ウェ アラブルシステムをリモートリハビリテーションに取り入れることを発案し、 新型コロナウイルス患者向けの、より効果的なリモートリハビリテーションの実現を目指した 、ヘッドセット型ウェアラブルシステムの臨床研究の準備を開始しました。

ウェアラブルシステムの導入メリット

本システムを活用することで、医師にとっては、リハビリテーション 治療 中に患者と会話しながら、運動中の血中酸素飽和度(SpO2)などのバイタルデータをリアルタイムに取得できるため、データを見ながら、適切な運動量 の指導が可能となり、より正確な診断の実施や診療時間の短縮に繋げることができ ます。また、患者にとっては 、 本システムを装着することにより、 骨伝導で音が聞こえるため、周辺の音を聞きながら、リハビリテーション 治療中も自由に手足を動かすことが可能となります。

今後、さらにヘッドセットを小型化することで、自宅などで療養中の患者に活用できれば、適時、医師が遠隔から患者のバイタルデータをモニターすることが可能となります。

両者は、今回の試験運用を継続して実施し、遠隔診療やリモ-トリハビリテーションの有効性などを検証した上で、他の疾患にも展開できるように検討を行い、今後の本格導入を目指し、本システムの共同研究を進めてまいります。

報道機関からのお問い合わせ
■京セラ株式会社
広報室 本社:075-604-3514 東京:03-6364-5503(直)
■東京医科歯科大学 総務部総務秘書課 広報係
TEL:03-5803-5833
E mail:kouhou.adm@tmd.ac.jp

田中雄二郎学長メッセージ

新型コロナウイルス感染に正面から取り組む
―大学基金へのご協力のお願い―

全世界が新型コロナウイルス感染という危機に直面しています。これは世界の4 人に1 人が感染し、5000 万人が死亡したスペイン風邪以来の大規模パンデミックとも言われており、大きく世の中を変えることになると思います。
大学自体も、卒業式、入学式が相次いで中止となり、教育はe-ラーニング、研究もコロナウイルス感染関連以外は最低限となり危機的状況です。
もともと、本学は「知と癒しの匠みを創造し人々の幸福に貢献する」という理念を掲げています。
この理念に基づき、東京に位置する医系国立大学としてこの危機に正面から取り組むのは使命だと考えて行動を開始しました。

新型コロナウイルス感染克服を最優先に

新型コロナウイルス感染克服への取り組みを最優先課題としました。
大学病院は高度先進医療を優先すべきだという議論もあります。しかし感染爆発の状況に至れば、そのような姿勢は社会的に許容されないだろうと考え、3月初旬から準備を開始しました。
診療面では、医学部附属病院がこの前面に立ち、集中治療室全体を陰圧化するなどの改装や、病院前に検体採取用テントを設置するなどのハード面の改修を行いました。また、新たに20台の人工呼吸器を購入し、ECMO(人工肺)5台、人工呼吸器82台の体制を敷いて多くの重症患者様の治療に当たっています。
ソフト面では、多くの研究者たちの応援のもと院内感染ゼロを維持するため入院患者様およびコロナウイルス対応職員の院内PCR検査体制を実施しています。また、コロナウイルス感染拡大防止の観点から医学部および歯学部附属病院の通常診療も大幅縮小し、患者様にはご迷惑をおかけしつつ、そのスタッフたちがコロナウイルス対応スタッフの応援に回っています。

このような本学の取り組みの結果、全国でも有数の新型コロナウイルス感染者の治療に当たることができ、その社会貢献を評価して頂き、防護服の寄附や弁当の差し入れなどを頂戴することが出来ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

しかしながら、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるために、皆様のご支援を重ねてお願い申し上げる次第です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いることが出来ますよう使途も明らかとして、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。
宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。

東京医科歯科大学 学長 田中雄二郎

新型コロナウイルス対策基金にご協力ください

東京医科歯科大学は、新型コロナウイルス感染症に正面から立ち向かっています。そのため、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるためには、皆様のご支援が必要です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いるよう、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。