感染制御部肺炎悪化のサインと思われる症状 ~自宅療養中に注意すべきポイント~
2021.01.19
お話を伺った先生
感染制御部長 貫井 陽子 医師
2021年1月18日の東京都の発表では、自宅療養の陽性者は9,442人、さらに入院・療養調整中の陽性者は7,481人に上っています。自宅療養の陽性者は、症状が軽症であるなどから、感染拡大防止対策を万全に行いながら、発症から約10日間、自宅で療養してもらうことになっており、保健所等が健康状態をフォローアップします。
東京医科歯科大学医学部附属病院感染制御部長の貫井陽子医師は、「自宅療養中のご本人やご家族は、とても心配な状況だと思います。家庭内感染を防ぐためにマスクの着用や距離を取って過ごすことなどに注意しながら、ゆっくりと休んで水分と栄養補給もしてください。また自宅療養中に注意すべきポイントは発熱などの他に『呼吸』の状態が重要です。呼吸に次のような変化がある場合は、肺炎が悪化している可能性がありますので、ためらわずに、近くの保健所か東京都発熱相談センターに電話をするようにしてください」と説明します。
【肺炎が悪化していると思われる症状】
- 明らかに呼吸の回数が増えている(1分間25回以上程度)
- 胸の痛みがある
- 唇が青紫色になっている(血液中の酸素が枯渇している「チアノーゼ」という症状)
- ベッドで起き上がっていないと息苦しく、横になれない
- 急に息苦しくなった
- 息が荒く、ゼーゼーと肩で息をしている
- 問いかけても反応せず、ぼんやりしている
東京都発熱相談センターについては、こちらのページをご覧ください。
田中雄二郎学長メッセージ
新型コロナウイルス感染に正面から取り組む
―大学基金へのご協力のお願い―
全世界が新型コロナウイルス感染という危機に直面しています。これは世界の4 人に1 人が感染し、5000 万人が死亡したスペイン風邪以来の大規模パンデミックとも言われており、大きく世の中を変えることになると思います。
大学自体も、卒業式、入学式が相次いで中止となり、教育はe-ラーニング、研究もコロナウイルス感染関連以外は最低限となり危機的状況です。
もともと、本学は「知と癒しの匠みを創造し人々の幸福に貢献する」という理念を掲げています。
この理念に基づき、東京に位置する医系国立大学としてこの危機に正面から取り組むのは使命だと考えて行動を開始しました。
新型コロナウイルス感染克服を最優先に
新型コロナウイルス感染克服への取り組みを最優先課題としました。
大学病院は高度先進医療を優先すべきだという議論もあります。しかし感染爆発の状況に至れば、そのような姿勢は社会的に許容されないだろうと考え、3月初旬から準備を開始しました。
診療面では、医学部附属病院がこの前面に立ち、集中治療室全体を陰圧化するなどの改装や、病院前に検体採取用テントを設置するなどのハード面の改修を行いました。また、新たに20台の人工呼吸器を購入し、ECMO(人工肺)5台、人工呼吸器82台の体制を敷いて多くの重症患者様の治療に当たっています。
ソフト面では、多くの研究者たちの応援のもと院内感染ゼロを維持するため入院患者様およびコロナウイルス対応職員の院内PCR検査体制を実施しています。また、コロナウイルス感染拡大防止の観点から医学部および歯学部附属病院の通常診療も大幅縮小し、患者様にはご迷惑をおかけしつつ、そのスタッフたちがコロナウイルス対応スタッフの応援に回っています。
このような本学の取り組みの結果、全国でも有数の新型コロナウイルス感染者の治療に当たることができ、その社会貢献を評価して頂き、防護服の寄附や弁当の差し入れなどを頂戴することが出来ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
しかしながら、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるために、皆様のご支援を重ねてお願い申し上げる次第です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いることが出来ますよう使途も明らかとして、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。
宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。
東京医科歯科大学 学長 田中雄二郎
新型コロナウイルス対策基金にご協力ください
東京医科歯科大学は、新型コロナウイルス感染症に正面から立ち向かっています。そのため、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるためには、皆様のご支援が必要です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いるよう、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。