感染予防

メンタルヘルスケアチーム感染の拡大、入院生活、隔離といった状況で
生じやすい反応とこころの健康維持

2020.04.23

一般の皆様、医療関係者にも役立つ、新型コロナウイルス感染症に負けないマメ知識を、
東京医科歯科大学の専門家に聞きました。

◆協力
東京医科歯科大学医学部附属病院精神科 髙橋 英彦 教授
東京医科歯科大学医学部附属病院 緩和ケア科 三宅 智 教授
東京医科歯科大学医学部附属病院 精神科 髙木 俊輔 病院掛主任(医局長)

新型コロナウイルス感染症患者さんのこころへの影響について当院精神科の先生方がまとめました。
(当院の新型コロナウイルス感染症の患者さん向けに行っているメンタルヘルスケアについての案内ですが、他の病院に入院中の方、隔離生活を過ごされている方にも役立ちますので、ぜひお読みください。)

新型コロナウイルス感染症に関するこころの健康について
~入院された患者様へ~

入院生活を送られている患者さんにとっては、身体的な苦痛に加え、行動の自由が制限されることで 、心身ともに多大な苦痛をお持ちのこととお察しいたします。

  • 強い怒りや興奮
  • 強い不安や恐怖を感じる
  • 周囲の状況が他人事のように感じられる
  • 自分がいじめられ疎外されているような気持ちになる
  • 眠れなくなる
  • 喜怒哀楽の感情が失われる

これらの反応は決して特別なものではなく誰にでも起こりうる自然な心理反応です。通常は入院生活や隔離が解除されれば改善されます。ただ、長期化すると、こころや身体に不調をきたす可能性があります。

上記症状が長く続いたり、ご自身では耐えがたいと感じるとき、当院では、メンタルヘルスケアチームが対応いたします。
ご相談したいと思われた場合には、病棟スタッフまでお声がけください。

ご家族も、患者様が入院されて心配されていたり、ご家族自身も隔離されるなど、多くの不安を抱えていることと思います。Web 上に、ご家族向けにも心の健康維持のために必要なエッセンスもご紹介しています。


入院中におけるこころの健康維持のためにできること

  • 大切な人とのコミュニケーションをとりましょう
  • 自分自身をいたわりましょう
  • 入院中でもできる自分の好きなことをしましょう
  • メディアからの情報は制限しましょう
  • 簡単なストレッチを行いましょう
  • 規則正しい生活を意識しましょう

ストレスに気づきましょう~あなたの気持ちのつらさは?~

今回のような危機に対する反応は、人によってさまざまです。
たとえば、危機に対するストレス反応としては次のようなものがあります。

  1. 身体症状(頭痛や疲労感、痛み、震え、動悸など)
  2. 不安で仕方ない・悪い方にばかり考えてしまう・混乱する
  3. 気分が落ち込む・涙がでてくる・悲しい気持ちになる
  4. 考えがまとまらない・ぼんやりする・簡単なことも決められない
  5. 寝付きが悪い・熟睡できない・食欲がない・食べ過ぎてしまう
  6. 罪悪感を感じる・恥ずかしい・ちょっとしたことでイライラする
  7. 喧嘩になる・反応がなくなる・ぼんやりする
  8. 時間や場所が分からなくなる

このような症状が軽い人もいれば、日常生活に支障をきたしてしまう人もいます。
気持ちには波があり、大丈夫な時とそうではないと感じてしまう時があるかもしれません。 日々のご自身の気持ちの状態(つらさなど)を継続的に自己観察してみることも、こころの健康を保つ秘訣です。
今の気持ちのつらさを数字で表してみましょう


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精神行動医科学分野のページでも様々な情報提供を行なっています

田中雄二郎学長メッセージ

新型コロナウイルス感染に正面から取り組む
―大学基金へのご協力のお願い―

全世界が新型コロナウイルス感染という危機に直面しています。これは世界の4 人に1 人が感染し、5000 万人が死亡したスペイン風邪以来の大規模パンデミックとも言われており、大きく世の中を変えることになると思います。
大学自体も、卒業式、入学式が相次いで中止となり、教育はe-ラーニング、研究もコロナウイルス感染関連以外は最低限となり危機的状況です。
もともと、本学は「知と癒しの匠みを創造し人々の幸福に貢献する」という理念を掲げています。
この理念に基づき、東京に位置する医系国立大学としてこの危機に正面から取り組むのは使命だと考えて行動を開始しました。

新型コロナウイルス感染克服を最優先に

新型コロナウイルス感染克服への取り組みを最優先課題としました。
大学病院は高度先進医療を優先すべきだという議論もあります。しかし感染爆発の状況に至れば、そのような姿勢は社会的に許容されないだろうと考え、3月初旬から準備を開始しました。
診療面では、医学部附属病院がこの前面に立ち、集中治療室全体を陰圧化するなどの改装や、病院前に検体採取用テントを設置するなどのハード面の改修を行いました。また、新たに20台の人工呼吸器を購入し、ECMO(人工肺)5台、人工呼吸器82台の体制を敷いて多くの重症患者様の治療に当たっています。
ソフト面では、多くの研究者たちの応援のもと院内感染ゼロを維持するため入院患者様およびコロナウイルス対応職員の院内PCR検査体制を実施しています。また、コロナウイルス感染拡大防止の観点から医学部および歯学部附属病院の通常診療も大幅縮小し、患者様にはご迷惑をおかけしつつ、そのスタッフたちがコロナウイルス対応スタッフの応援に回っています。

このような本学の取り組みの結果、全国でも有数の新型コロナウイルス感染者の治療に当たることができ、その社会貢献を評価して頂き、防護服の寄附や弁当の差し入れなどを頂戴することが出来ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

しかしながら、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるために、皆様のご支援を重ねてお願い申し上げる次第です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いることが出来ますよう使途も明らかとして、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。
宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。

東京医科歯科大学 学長 田中雄二郎

新型コロナウイルス対策基金にご協力ください

東京医科歯科大学は、新型コロナウイルス感染症に正面から立ち向かっています。そのため、病院の改装、医療機器、防護服、検査試薬など諸費用は莫大なものになっており、より良い診療、教育、研究を維持向上させるためには、皆様のご支援が必要です。お寄せ頂いたご厚意には必ず報いるよう、一層の社会貢献に努めて参りたいと思います。宜しく、ご理解、ご支援のほどお願い申し上げます。