取組の趣旨

プログラムの理念・概要・特色

東京医科歯科大学、秋田大学および島根大学の医学部は、高度先進医療機関である附属病院と豊富な関連病院が連携し、それぞれの地域の医療を担う医師を輩出してきた。

三大学は広域連携臨床研修プログラムを創設し、臨床研修における連携を既に開始している。この経験を踏まえ、新たに専門医および家庭医育成においても連携する。3大学が新たに提供する①短期パッケージ研修(3ヶ月、滞在費および交通費支給)および②長期パッケージ研修(1年)を活用することにより、付加価値のある専門医もしくは家庭医になるための研修が可能となる。また、3大学は(社会人)大学院を有し、後期研修の過程で発見した課題を、研修を継続しつつ研究に昇華・発展させる道も開いており、専門医資格に加え学位取得も可能である。さらに、首都圏と医療過疎地という全く異なる診療圏の医療が体験でき、大きく視野を展開できることも特色である。

 

取組の特色

  1. Webベースの共通ポートフォリオに評価が蓄積され、研修先が変っても一貫した指導の体制
  2. ポートフォリオ評価により個々に、最適な“付加価値”を見出すことができる
  3. “付加価値”を獲得する短期パッケージ研修(3ヶ月、派遣元に在籍、滞在費・交通費援助)および長期パッケージ研修(1年、派遣先職員となる)がある
  4. 後期研修中に見出した問題点を研究に発展させる大学院があり、しかも研修と並行させることもできる(社会人大学院)
  5. 首都圏と地方という全く異なる診療圏の医療が体験でき、大きく視野を展開できる

到達目標

  1. 20年度は3大学の卒業数の50%以上である150名以上の参加と、参加者の基本領域学会の専門医(外科専門医等)のみならずサブスペシャルティとしての専門医(肝臓専門医等)取得を目標とする。21年度以降は新規参加者を加え漸次増加させ全体の参加者は250(H21年度)から400名程度(H24年度)を目標とする。なお、大学院への進学も積極的に推奨する。

プログラム成果

  1. 従来連携していなかった3大学の連携により、質的にも量的にもより充実した後期研修を提供できる。
  2. ポートフォリオ評価、パッケージ研修ないし大学院進学により参加者個々にとって付加価値の高い研修を提供できる
  3. 本プログラムの研修医療圏には医療過疎地域も含まれ、一定の貢献が期待される。
  4. 首都圏と医療過疎地という全く異なる診療圏の医療が体験でき、大きく視野を展開できる。

評価体制

  1. 3大学の事業責任者およびコーディネータからなるプログラム点検委員会を組織し、定例テレビ会議にて、連携上の問題点を協議する。
  2. 各大学はその関連医療機関代表者および外部委員も参加する連携運営委員会を設置し、運営状況を検証し問題点を抽出する。
  3. 結果を各大学診療科、関連病院にフィードバックするとともに問題に基づいてファカルティ・デベロップメントを開催し、プログラムの質的向上を目指す。

将来の医師キャリアデザイン構想

  1. 本プログラムで連携する東京医科歯科大学、秋田大学、島根大学は国立大学法人であり、卒前教育においては診療参加型臨床実習を通じたモデルコアカリキュラムの完全履修を目標としている。
  2. 初期臨床研修においては、オンライン卒後臨床研修評価システムEPOCを用い共通の評価基準の下に基本的臨床能力を高い水準で達成するとともに自らの適性を見極め専門医としてのキャリアを積む足がかりを作る。
  3. 後期研修では基本領域およびサブスペシャルティの専門医資格を取得するとともに、後期研修中に見出した問題点を研究に発展させる大学院が用意され、しかも社会人大学院の場合は研修と研究を並行させることもできる。

検証と改善

 

今回連携する3大学は、これまでも各地域において一定以上の初期・後期臨床研修プログラムを提供し、高い水準の医師養成により各地域の医療を支えてきたが、付加価値が得られるキャリア形成という点では必ずしも十分では無かった。今回、短期および長期のパッケージ研修というプログラムを導入することで、個々の研修到達状況とニーズに応じて目標を絞った研修が積めることが期待される。本補助金により、滞在費、交通費が登録研修医に援助され、指導医に指導手当(仮称)が支給される点で、腹腔鏡手術、小腸内視鏡、医療過疎地域におけるプライマリケア研修等ゴールが明確な短期パッケージ研修が実動し、個々に最適ないわゆるテーラーメイドプログラムの実現が期待される。


学会発表

 

2010年10月16日 第48回日本医療・病院管理学会学術総会(広島国際会議場) 特別シンポジウムにて発表


 

    

2012年7月28日 第44回日本医学教育学会大会にて発表