臨床分析・分子生物学分野

ご挨拶

大川 龍之介 教授

分野統合により臨床分析・分子生物学分野となって2年目がスタートしました。統合をきっかけに始まった鈴木准教授グループとの拡大ミーティ ング(年6回)では活発な議論が交わされ、より一層研究に深みが増してきたと考えています。

今年度も、両グループの共同研究をさらに進展させ、当分野の学生、スタッフ全員が充実した1年を過ごせるように努力して参りたいと思います。

本研究室を何卒よろしくお願い申し上げます.

臨床分析・分子生物学分野 教授 大川 龍之介 (2024年4月)

鈴木 喜晴 准教授

准教授・鈴木のグループは、一昨年度まで遺伝子細胞検査学分野として活動して参りましたが、昨年度より大川教授の研究室と分野統合となり、 新たなスタートを切りました。統合したことのアドバンテージを最大限に活かし、分野の研究と教育の発展に貢献して行きたいと思います。 2024年度の当グループの構成メンバーは、教員1名、修士課程5名、学部卒研生(4年生)2名の計8名で、研究・教育活動に励んで参ります。
臨床分析・分子生物学分野 准教授 鈴木 喜晴(2024年4月)

吉本 明 助教

東京医科歯科大学に着任して、教員としてもうすぐ2年目に入ります。初年度は右も左も分からない中で、大川先生、鈴木先生始め、研究室の皆 さんに助けていただきながら、なんとかここまでやってこれました。
前職の病院の検査部とはまた違った忙しさを感じつつも、ここでしかできない様々な経験をさせていただき、充実した日々を過ごさせていただいています。

本年も、皆さんと楽しく研究活動に精進していけたらと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。

臨床分析・分子生物学分野 助教 吉本 明 (2024年4月)

教育概要

学部教育

教育分野は分析化学検査学が中心であり、臨床検査現場ではいわゆる一般検査および臨床化学検査領域にあたる。 この分野はもっとも自動化が進んでいる分野である。 また、放射線同位元素技術学の教育はアイソトープ総合センターの原正幸准教授の協力を得ている。 高度専門職業人として検査現場 のリーダーあるいは指導者として活躍できる人材の育成のために、 あるいは、企業においては検査の知識 をベースにしたスペシャリストとして独自の業務を遂行できる人材の育成のために、 分析法の原理や特徴および得られた結果の臨床的意義を解釈できる基礎的教育を目指している。 それをベースに自ら考え、問題を解決し、さらには発展させていく創造的能力の育成が最終目標である。

大学院教育

明日の臨床検査を支え、発展させられる臨床検査技師、教育者、研究者の育成!

研究の基礎となるのは分析技術である。確かな分析技術なくして、すばらしい研究成果が得られることはありえない。 先端分析検査学分野では、信頼できる分析技術の重要性を理解し、その技術を習得することを第一の目的とする。 次にその技術を基盤として、臨床検査分野で必要とされている新たなバイオマーカーの考案と測定法の開発、 および臨床的有用性の評価を目指す。 これら一連の研究プロセスを通じて、各種分析技術の習得とその原理、特徴および限界を理解することに加えて、 自ら実験を立案し、その実行のために最適な手法を選択できる研究構築能力を育成する。 また、学会発表や論文発表を通じて、得られた研究成果を情報として発信する能力を育成する。

研究概要

直接の研究対象はリポ 蛋白およびその主要成分であるコレステロールや中性脂肪、構成・機能蛋白である各種アポ蛋白、 およびその代謝・分解産物や代謝に関わる酵素類であるが、これらの詳細な研究を通じて、粥状動脈硬化性疾患の早期病態把握に 有用なバイオマーカーを開発することが主要な研究テーマある。

具体的には、High-density lipoprotein(HDL)および主要構成蛋白であるapolipoprotein A-Iの reverse cholesterol transport(RCT)、antioxidant ability、およびanti-inflammatory effectに着目した 冠動脈疾患の特異バイオマーカーの開発が テーマである。冠動脈疾患の危険因子は多数報告されており、 それらの検査によって心筋梗塞などの発症リスクを軽減することに一定の効果は得られている。 しかし、リスク回避に努力している方が多いにも関わらず心筋梗塞で亡くなる頻度が依然として激減しないのも事実である。 リスクのある方を中心に、定期的に、しかも簡易に検査可能なバイオマーカーの必要性が強く望まれている。 RCT、antioxidant ability、anti-inflammatory effectは抗動脈硬化の有用なメカニズムと考えられているが、 当研究室ではそのメカニズムに関わる多数の成分より、 様々な時点におけるリアルタイムな病態把握に有用なバイオマーカーを発見し、測定法を開発することを目指している。

研究課題

■ 心血管疾患発症の残存危険度を 評価可能なバイオマーカーの開発
Development of a new biomarker to estimate residual risk for cardiovascular disease

■ HDL多様化の機序お よび性質・機能への影響
Mechanism of HDL diversification and its effect on the character and function
(倫理承認番号:M2015-546,M2016-049)

■ 赤血球関連脂質代謝の分子機構解析
Molecular mechanism of red blood cell-related lipids metabolism
(倫理承認番号:M2000-1790)

教育概要

学部教育

担当している講義や実習(生化学、遺伝子検査学等)を通じて、生命現象の基本原理やメカニズムを分かり易く説明し、 出来る限り多くの学生が興味を持てるように努めています。その上で、臨床検査学として必要な知識や技術を解説・実践し、 学生がより理解を深めて習得が出来るよう心掛けています。卒業研究の指導では、当グループの研究で必要となる基礎知識や 実験原理を解説し理解を促した上で、プロトコルの作成、実技、結果考察の順番で研究を進めてもらうことを心掛けています。 また、大学院生と一緒にプログレスレポートや論文抄読会にも参加してもらい、データのまとめ方やプレゼンの仕方、 論文の読み方・書き方の指導も行っています。さらに成果の出た学生には学会発表や論文発表も奨励しています。

大学院教育

当グループの多くの大学院生は、当研究室で学部卒業研究を履修した方となるため、 卒業研究の延長として大学院研究活動の指導を行っています。当該研究分野での最新の学術論文や学会参加等の機会を利用して、 自分たちの研究の世界レベルでの位置付けを理解してもらい、研究に取り組むよう指導しています。 学会発表に関しては特に国際学会での発表、論文発表ではできる限りハイインパクトのジャーナルにチャレンジすることを奨励しています。 また、何よりも高いモチベーションを持って毎日楽しく研究に励むことができる環境作りを心掛けています。 所属講座での大学院教育として、主に生体検査科学セミナーを通して、当グループ以外の大学院生の研究ディスカッションや プレゼンテーションの指導も行っています。

研究概要

様々な生命現象の分子メカニズム解明を目的に研究を展開していますが、現在主に中枢神経系の髄鞘形成を対象に研究を進め ています。 オリゴデンドロサイトによって神経軸索周囲に髄鞘が形成されることで、神経活動電位の跳躍伝導が可能となり、 中枢神経系は正常に機能しています。そのため髄鞘形成・維持の異常が引き金となり、多発性硬化症や 先天性大脳白質形成不全症を始めとする様々な神経疾患が誘発されることが知られています。 さらに最近では、精神疾患や認知症との因果関係が明らかとなり、髄鞘研究が今後の神経科学や脳科学、神経・精神疾患の病態理解と 治療戦略に新たな展開を齎すものと期待されています。当グループでは、主に遺伝子組換え技術とタンパク質解析技術を用いて、 動物モデルや細胞培養系における様々な遺伝子・タンパク質の発現や機能の解析を行うことで分子メカニズムの解明を試みてい ます。 さらに、そのメカニズムに基づいて関連疾患の診断・治療やQOL向上に繋がる応用研究、また、 新規研究 ツールやバイオマテリアルの開発等への応用展開を目指しています。

研究課題

■ 中枢神経系髄鞘形成の分子メカニズムの解明
Elucidation of the molecular mechanism of myelination in the central nervous system

■ 遺伝子改変マウスを用いた神経・精神疾患の新規動物モデルの開発
Development of new animal models of neurological and mental disorders using genetically engineered mice

■ 細胞外マトリックス分子による新規細胞培養基質・バイオマテリアルの開発
Application of extracellular matrix molecules for the creation of novel cell culture substrates and biomaterials