Phantom bite syndrome

「噛み合わせが合わない」「歯の高さが気になる」。違和感の強さを十分に説明する問題が見つからない場合にも、歯・顎関節の状態と感覚、治療の経過を合わせて評価します。

Phantom bite syndromeとは

「かみ合わせがしっくりこない」「歯が高い、低い」「あごがずれている」「左右の歯が同時に当たらない」などの耐えがたい違和感が続く一方、診察では、その強い症状を十分に説明できる明らかなかみ合わせの異常が確認できない状態です。

咬合違和感症候群、咬合異常感症、occlusal dysesthesia、phantom biteなどの名称も使われます。用語の範囲や定義には、文献・診療分野によって違いがあります。

歯科治療、矯正治療、補綴治療などの後に始まる場合がありますが、はっきりしたきっかけがない場合もあります。治療後に症状が出たという経過だけで、治療の適否や症状の原因を判断することはできません。

診察で確認すること

詰め物・かぶせ物、歯、歯周組織、顎関節などに客観的な問題がないかを確認します。違和感が始まった時期、処置による変化、食事や会話への影響も伺います。

かみ合わせの感覚は、歯だけでなく、歯根膜、あごの筋肉・関節、末梢神経、脳での感覚処理、症状への注意などと関係しています。感覚情報の処理や注意の向き方なども研究されていますが、病態には未解明な点が残っています。

当科での治療の考え方

歯科的な問題を確認したうえで、症状の仕組みについての説明、症状への注意を調整する工夫、生活指導、薬物療法、必要に応じた心理的支援などを検討します。

症状を説明できる問題が見つからないまま、咬合調整や補綴物の作り直しを繰り返すと、改善しないだけでなく、かみ合わせや治療経過がさらに複雑になることがあります。歯を削るなどの元に戻せない処置は、客観的な必要性を確認して慎重に判断します。

症例写真

Phantom bite syndromeの症例写真(正面) Phantom bite syndromeの症例写真(上顎) Phantom bite syndromeの症例写真(下顎)

主訴:十数年前から噛み合わせが合わない。矯正を始めたが口の中が狭まり、舌が窮屈になった。

よくあるご質問

Q.治療後から「かみ合わせが高い」「歯の位置がずれている」と感じます。もう一度削れば治りますか?

A.まず歯や修復物、歯周組織、顎関節などを診察します。症状を説明する問題が確認できない場合は、さらに削ることで改善するとは限りません。これまでの処置と症状の変化を整理して判断します。

Q.かみ合わせの検査が正常なら、なぜ違和感が続くのですか?

A.感覚は歯の接触だけで決まるものではなく、神経や脳の働き、注意の向き方なども関係します。原因を一つに決めつけず、口腔内の状態と症状、生活背景を合わせて評価します。

当分野の関連研究

当分野では、咬合違和感の臨床像や治療上の課題について研究しています。

Phantom bite syndromeの臨床的レビュー

当分野によるレビューで、症状の特徴、診断や治療の課題、感覚処理に関する仮説を整理しています。病態を一つの原因だけで説明するものではなく、治療方針を個別に考えるための資料です。

Tu TTH, et al. Phantom bite syndrome: Revelation from clinically focused review. 2021.

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参考文献・関連資料

このページは疾患や診療の考え方を知っていただくための一般的な情報です。個別の診断・治療は、診察と必要な検査に基づいて判断します。