非定型歯痛(非定型顔面痛)

「治療した歯がずっと痛い」「抜歯した後も同じ場所が痛い」。歯や歯ぐき、顔の痛みが続くときには、歯科疾患や神経の病気などを検討し、痛みの特徴とこれまでの経過を整理します。

非定型歯痛(非定型顔面痛)とは

当科では、患者さんに分かりやすい呼び方として「非定型歯痛」「非定型顔面痛」を用いることがあります。歯や歯ぐき、顔に痛みが続き、通常の診察や検査で、その痛みを十分に説明できる原因が見つからない場合に検討する診断です。

「歯がズーンと痛い」「歯ぐきがズキズキする」「歯を治療しても痛みが続く」など、訴え方はさまざまです。こうした症状だけで病名を決めることはできません。

診断と、ほかの原因との区別

歯の神経や根の病気、歯周病、歯のひび・破折、インプラント周囲の炎症、上顎洞の病気、神経痛などを確認します。歯科治療や外傷の後に発症した場合には、外傷後の神経障害性疼痛なども含めて検討します。

現在の国際分類では、持続性特発性歯槽痛(persistent idiopathic dentoalveolar pain:PIDAP)や持続性特発性顔面痛(persistent idiopathic facial pain:PIFP)などの名称が用いられます。PIDAPとPIFPはそれぞれ診断基準を持ち、従来の呼称とすべてが一対一に対応するわけではありません。痛む場所、感覚の特徴、発症前の処置や外傷との関係などを整理して判断します。

痛みが続く背景をどう考えるか

痛みを十分に説明する歯科的原因が確認できない場合には、痛みを伝える神経や脳の痛み調整機能が関係している可能性も含めて考えます。睡眠、気分、症状への注意、これまでの治療や生活上の負担も診察で伺います。

検査で原因が見つからないことは、痛みが存在しないという意味ではありません。患者さんの経験している痛みと、日常生活への影響を具体的に把握することが診療の出発点です。

当科での治療の考え方

症状と診察・検査結果を照らし合わせ、痛みの仕組みの説明、薬物療法、生活上の対処、必要に応じた心理的支援などを検討します。

明確な歯科的原因が確認できないまま、歯を削る、神経を取る、抜歯するなどの元に戻せない治療を繰り返しても、痛みが改善しないことがあります。追加の処置を決める前に、これまでの治療と症状の変化を整理することが重要です。

症例写真

非定型歯痛の症例写真(口腔内)

主訴:数十年前に入れたインプラントの部分の歯茎がズキンズキン痛い。

よくあるご質問

Q.「治療した歯がずっとズーンと痛い」「歯を抜いたのに、まだ同じ場所が痛い」のですが、異常はないと言われました。

A.非定型歯痛にみられる訴えの一つですが、歯や歯周組織の病気、神経痛、治療や外傷後の神経障害性疼痛などとの区別が必要です。診察と必要な検査、これまでの治療経過を合わせて判断します。

Q.インプラントの部分が痛ければ、非定型歯痛ですか?

A.痛む場所だけでは判断できません。まずインプラント周囲の炎症や機械的な問題などを確認し、そのうえでほかの原因も検討します。

Q.痛い歯をさらに削る、神経を取る、抜歯をすることで治りますか?

A.原因によって異なります。痛みを説明する歯科的原因が確認できないときは、追加の処置で改善しないことがあるため、元に戻せない治療を慎重に判断します。

当科の受診を希望される方へ

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参考文献・関連資料

このページは疾患や診療の考え方を知っていただくための一般的な情報です。個別の診断・治療は、診察と必要な検査に基づいて判断します。