

がんプレシジョンメディシンとは、遺伝子変異などの情報を元に、患者の治療を個別化し、最も適した治療を患者に提供する医療である。日本でもがんゲノム医療中核拠点病院が2018年2月に定められ、2018年4月からは先進医療でがんゲノム解析が行われるなど、社会実装への準備が進んでいる。
しかしながら、がんプレシジョンメディシンを行う為には、がんの診断、治療に加えて、遺伝学、分子生物学などの知識が必要となってくる。また、臨床の医師のみだけでなく、基礎科学者、病理部、検査部、遺伝専門家、ゲノム医療コーディネーター、倫理専門家など、多くの職種との協働作業が必要となってくる。これらに必要な知識や経験を積む機会はこれまでなく、今回文部科学省の未来がん医療プロフェッショナル養成プランの一環として、がんプレシジョンメディシンフェローシップを創設する運びとなった。
がんプレシジョンメディシンフェローシップのゴールは、1年間でがんゲノム医療に必要な知識や経験を講義、OJTなどを通し学び、1年後には独立してがんゲノム医療が遂行できる医師を養成することである。
上のゴールを達成するために、受講する医師(以降フェローと呼ぶ)は、
以下のトレーニングを受ける。
年間を通し系統講義を受け、がんゲノム医療に必要な知識を身につける。
Genomic sequencingの基礎 | DNAについて、検体の品質管理、シークエンスの原理、シークエンスの方法、シークエンスデータの解析方法、遺伝子変異の意義づけの方法 |
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遺伝子変異の基礎 | がんで頻繁に変異している遺伝子につき、その構造、機能、頻回におきる遺伝子変異、治療法を学ぶ。
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分子標的薬剤 | 標的となる遺伝子、これまで知られている臨床効果、副作用、相互作用について学ぶ。(eg. Trastuzumab, Gefitinib, Crizotinib, Dabrafenib, Trametinib, Palbociclib) |
Incidental findingsに対する対処 | Incidental findingsとは、遺伝カウンセリングの基礎、Incidental findinsへの対処法 |
薬剤のアクセスに関する現法制を学ぶ | 患者申し出療養制度、保険外併用療法 |
がんゲノム解析を受ける患者を診察し、適応を考え、適切な検査を選択し、検査結果の解釈、ゲノムキャンサーボードでの討論、患者への結果返却、必要であれば臨床遺伝科・認定遺伝カウンセラーへの紹介、治療薬の選択、治療が行える枠組みを見つけ、治療の遂行、治療結果のデータベースへの入力などを行う。
1年間で100名を目標とする。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | 実習(外来) | 実習(外来) | 実習(外来) | 実習(外来) | 演習(研究) |
午後 | 実習(外来) | 演習(研究) | 演習(研究) | ゲノム キャンサーボード |
演習(研究) |
夜 | 講義 | 講義 | 講義 | 講義 | 講義 |
6ヶ月毎に評価を受け、ゴールに向けての達成度を評価する。
身分 | 医員(非常勤職員) |
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勤務時間 |
8:30~17:15 (休憩時間12:00~12:45) |
給与 | 本学給与規則により、医師免許取得後の年数に応じて日給11,104円~日給14,944円の範囲で決定 |
諸手当 | 通勤手当、診療・夜間看護等手当、夜勤手当、時間外労働手当 |
休暇 | 年次有給休暇、特別休暇、病気休暇 |
その他 | 本学関係規程等による |
宿舎 | なし |
社会保険 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険 |
医師賠償責任保険 | 東京医科歯科大学が加入している保険を適応 |
がんプレシジョンメディシンフェローシップディレクター
池田 貞勝
〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45
東京医科歯科大学
腫瘍センター
電話: 03-5803-4873
FAX: 03-5803-0387
Email: ikeda.canc☆tmd.ac.jp
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当フェローシップへの参加を希望される方は、以下の手順でお申し込みください。
がんゲノム医療では治療が未だ保険適用を受けてないことが多く、多くの治療が治験・臨床試験を通して提供される。その為、治験・臨床試験の知識や経験が必要となる。がんプレシジョンメディシンフェローシップでは、実際に現在走っている治験や臨床試験への参加に加えて、新たに治験や臨床試験を立案し、プロトコール作成、倫理審査会での審査、治験・臨床試験の開始、結果のまとめなどを通し、実際に新たな薬剤の開発がどのように行われるのかを学ぶ。