石野研究室私達の研究室では、ゲノム機能と言う立場からヒトを含む哺乳動物の個体発生機構を解析しています。ゲノムインプリンティング(ゲノムの刷込み)という父親・母親に由来するゲノムの機能的差異や体細胞から作製したクローン動物の個体発生等をテーマにエピジェネティクスという新しい分野を開拓しています。
1. ゲノムインプリンティングと哺乳類の個体発生
メンデルの遺伝の法則は現代の分子生物学の基礎となっている重要な法則です。しかし、哺乳動物にはこの法則に従わない遺伝子群が存在してます。父親・母親由来のゲノムからのみ発現するPeg (Paternally expressed genes) 遺伝子群とMeg (Maternally expressed genes) 遺伝子群で、これらをあわせてインプリンティング遺伝子と言っています。
これらは1991年に最初に発見された新しい遺伝子群です。このような相補的に発現する遺伝子群の存在するため、哺乳類では父親、母親の存在無しに子供はできません。私達の研究室では体系的なインプリンティング遺伝子の分離と個体発生、成長、形態形成、精神行動に重要な遺伝子の機能を行っています。また、精子・卵子形成という生殖細胞系列で起きるゲノムインプリンティングの記憶の消去・再成立の分子機構の解明を進めています。
インプリンティング遺伝子
2. 体細胞クローン動物の個体発生
これまで体細胞の分化は不可逆的な過程であると信じられていましたが、体細胞クローンの誕生はその常識を覆しました。この新しい哺乳動物の生殖機構は、個体発生に伴う分化決定がどのような機構で起きているかを明らかにする手がかりを与えてくれます。体細胞核の未受精卵内での初期化(個体発生の全能性の再獲得)機構や、体細胞クローン動物自身が、受精した場合と同じように正常に発生しているのかを解析しています。
クローンマウスの胎仔