当教室は、昭和53年(1978年)10月1日に診療科として発足し、翌54年(1979年)4月1日に講座となり、昭和55年(1980年)に初代の塚越廣教授が赴任し、その歴史が始りました。その後、一時の混乱も乗り越え、診療・教育・研究の各分野で着実に成長を続け、平成8年(1996年)9月1日に着任した水澤英洋教授の下、現在66名の教室員、146名の同窓会員一人一人が、病める方々のために日々努力し、さらなる発展を続けています。基幹病院の部長・医長はもとより、国公立大教授(S46、S55、S56、S58、S58 、S58卒)・助教授(S55卒)、国立研究所部長(S60卒)からリハビリテーション部門のセンター長・医長、クリニック開設者、国家公務員・東京都公務員、医療関連企業役員等まで幅広い人材を輩出しています。平成11年 (1999年) 4月には大学院重点化に伴い、神経内科学講座から、医歯学総合研究科認知行動医学系専攻脳行動病態学講座の脳神経機能病態学分野、さらにその後、脳神経病態学分野と名称が変わりました。
我が国では21世紀を「脳の世紀」と位置付け大プロジェクトがいくつもスタートしており、我々もその一翼を担っています。ここ10年、20年の神経内科学的領域の進歩は恐るべきもので、これからは10年、20年、30年といった単位で脳そのものを知り、神経疾患を治療するというテーマが大きく花開くときではないかと思います。当教室も、脊髄小脳変性症などの神経疾患の原因遺伝子探索とその生物的な意義の解明から治療法の開発、RNAiを用いた遺伝子治療、虚血性神経疾患の神経再生治療の試み、免疫性神経疾患の治療法の開発、プリオン病や認知症性疾患の原因解明などを柱とした研究プロジェクトが発展しつつあります。常に臨床を中心としたスタンスでこれらの難問に取り組んでおり、真に有効な治療法を開発すべく、日夜努力しています。
また、急速に進行する高齢化社会を迎え、神経内科専門医に対する社会の需要はますます高まる一方ですが、その数は未だ絶対的に不足しており、若い優秀な神経内科医の教育・育成はきわめて重要です。当教室では、大学病院の卒後臨床教育研修センターとも協力し、独自の臨床研修プログラムを用意して、連携病院共々これに力を注ぎ取り組んでいます。
われわれが新人に求めることは、現時点での神経学の知識の量ではなく、まじめで、精力的に問題に取り組む姿勢であり、それさえあれば、近い将来には臨床医として、また神経疾患関係の大学スタッフ及び基礎研究者として様々な道が広がっています。19世紀のある時期が細菌学の時代として記憶されたのと同じように21世紀は脳の時代として記憶されることになるでしょう。来るべき時代に神経学の担い手となる若い諸君の多数の入局を希望します。




















