診療のご案内胆膵疾患

胆膵疾患疾患は時に早期発見が困難であり、治療に難渋する症例も多く経験されます。一方で、胆膵疾患の内視鏡を使用した早期診断や治療も急速に進歩しており、当院ではその最先端の治療を行える体制を整えるのと同時に早期診断から外科手術や抗がん剤治療へseamlessにつなげられる体制を整えております。数多くの患者様に最適な治療を安心して受けていただける体制となっておりますので、お困りの際にはご連絡ください。

膵癌

膵癌は現在、国内のがん死亡率の4位となっており、早期診断は困難なため進行した状態で発見されることが多く、生命予後の厳しい腫瘍の代表と言えます。当院では疑わしい症例には積極的に超音波内視鏡という内視鏡の先端から非常に精細な超音波検査が行える内視鏡を行い、可能な限りの早期発見を目指しています。疑わしい部位に対しては超音波内視鏡で観察しながら細い穿刺針を用いて組織採取を行ったり、内視鏡的に膵管という膵臓内を走る管にチューブを留置して細胞の採取を行ったりして診断を確定します。日々、肝胆膵外科の先生方や腫瘍内科(抗がん剤の治療を専門とする科)の先生方とカンファレンスを行い、協力して早期発見から手術まで最短で到達できる体制を整えています。近年では術前に抗がん剤を行うと手術後の成績が良くなることから、術前にきちんと組織を採取して診断をつけることの重要性が報告されています。また、抗がん剤の治療を行っていくにあたって、個々人の腫瘍それぞれに効果のある抗がん剤が違う場合があり、その場合にも腫瘍の組織から遺伝子情報を採取して抗がん剤の効果を確認する必要があります。当院では積極的に超音波内視鏡を使用した組織採取を行っており、早期に目標の治療に進めるように努力しています。

膵嚢胞性疾患

膵癌への関心の高まりや画像診断技術の向上によって検診などで膵臓の嚢胞性病変を指摘される方が増加しています。膵嚢胞性疾患の多くは膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と呼ばれる良性の腫瘍ですが、時として悪性化することが知られています。当院ではガイドラインに準じて適切な精査及び必要に応じて手術を含めた治療の提案をさせていただくとともに、ご自宅近くの病院と密な連携をとり、細やかな経過観察が行える体制を整えています。膵嚢胞性疾患も悪性化の検出には超音波内視鏡が非常に重要な役割を持っており、他の検査では同定できない早期の悪性化の兆候をとらえることが可能です。疑わしい症例に対しては超音波内視鏡での観察を行って、早期に診断し、手術を提案できるように診療しています。

膵神経内分泌腫瘍

膵神経内分泌腫瘍も検診などで小さな血流の豊富な腫瘍として発見されることが増えてきています。膵神経内分泌腫瘍は低悪性度の腫瘍と言われてはいますが、小さくても転移して治療に難渋することがあり、早期に組織採取をして診断を確定するとともにその結果をもとに手術を含めた適切な治療や経過観察スケジュールを提案させていただくことが重要となります。当院は膵神経内分泌腫瘍においては日本有数の症例数を有しており、診断から治療まで日本最先端の治療を行える体制となっています。

慢性膵炎

近年、超音波内視鏡が普及したことにより、膵臓の早期の炎症性変化がとらえられるようになっています。まだ、どの程度の所見がどのくらい症状に寄与するか、癌のリスクとなるのかについては検討されている最中ですが、癌の原因となり得る慢性膵炎を早期に診断できることは重要です。当院では早期慢性膵炎が疑われる方を対象に積極的に超音波内視鏡検査を行っており、早期診断から密な経過観察を行い、早期の癌の発見を目指しています。

胆道癌

胆道癌は肝臓からの排出される胆汁を流す胆管や胆嚢といった臓器から発生します。
多くの場合、胆管を閉塞することにより黄疸を来すため、倦怠感や皮膚の掻痒感が出現し、また肝臓からの排水路が閉塞してしまうため肝機能の悪化を来します。
胆道癌の診断や治療にはまずは経口的に内視鏡を挿入して胆汁の流れを再開させ、肝機能や症状を改善させるとともに、組織を採取して診断をつけたり、どこからどこまで腫瘍の浸潤があるのかの範囲を診断したりすることが重要となります。
内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)とよばれるこの治療は、合併症として膵炎などを発症させる可能性のある処置のため注意が必要ですが、当院では今までの多くの報告をもとに膵炎を起こしにくい処置を心がけており、実際に合併症の発症率は低く抑えられています。
合併症による遅延のない、本来の癌の早期診断、早期治療が可能な体制となっています。
近年では胃内から胆管を穿刺して胃内に胆汁を流すチューブを留置する方法(interventional EUS)が開発され、当院でも必要に応じて行っています。

総胆管結石、胆石性胆管炎

総胆管結石は比較的多くの方が経験される疾患で、多くの方が耳にされる胆石症の類縁疾患となります。しかし、高速道路でいうならば、サービスエリアのような胆嚢に石がある場合と異なり、本幹である胆管に結石がある場合にはすぐに大渋滞(黄疸)を来し、大事故(胆管炎)を発症させる危険性があります。胆管炎は敗血症になりやすく致死的になりやすい疾患のため、胆管の結石は排出させることが望まれます。総胆管結石の治療は胆管癌に対する黄疸の治療と同様、内視鏡的逆行性胆管造影検査(ERCP)という検査で行います。近年では大きな結石で通常の胆管の出口からは出せないような結石も胆道鏡という細い内視鏡を胆管内にさらに進めていって、衝撃波で結石を破砕することもできるようになっており、当院でも積極的に行っています。また、以前、胃や膵臓や胆管の手術をされた方が総胆管結石を発症した場合に、通常の内視鏡を使用して胆管の結石を取ることは不可能になってしまいます。その場合には小腸内視鏡という非常に長い、尺取虫のような機構で先進する内視鏡を使用することになりますが、この小腸内視鏡を使用したERCPは非常に難易度が高いことで知られています。当院の光学医療診療部では小腸内視鏡の世界的権威である大塚教授の指導の下、小腸内視鏡を使用した胆管結石の治療も積極的に行っています。

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