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「細胞を浄化する新たなメカニズムを発見」
― 癌、神経疾患などの新規治療法開発に期待 ―


 東京医科歯科大学・難治疾患研究所・病態細胞生物学分野の清水教授の研究グループは、これまでオートファジーが実行される際、Atg5, Atg7, LC3等の分子が必要不可欠であると考えられてきましたが、これらの分子に依存しない新規のオートファジー機構を発見しました。この新規オートファジー機構は癌や神経変性疾患など多くの疾患に関与していると考えられ、将来的に新規治療法開発への応用が期待できます。この研究は医薬基盤研究所の「保健医療分野における基礎研究推進事業」などの支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Nature(ネイチャー)の2009年10月1日付オンライン版にて発表されました。           
清水 重臣 教授
難治疾患研究所
病態細胞生物学分野
ポイント
  • オートファジーが実行される為には、従来Atg5, Atg7, LC3等の分子が必要不可欠であると考えられてきましたが、これらの分子に依存しない新規のオートファジー機構を発見しました。
  • 赤血球が成熟する時にはミトコンドリアが除去されますが、この機構に新規オートファジーが関与していることを明らかにしました。
  • 我々が発見した新規オートファジー機構は、癌や神経変性疾患など多くの疾患に関与している可能性があります。
研究成果の概要と意義

 オートファジーは細胞内小器官などの自己構成成分を分解するシステムで、細胞の健全性の維持に貢献しています。また、その機能異常は神経疾患や発癌など様々な疾患に関与することが報告されています。従来オートファジーの実行メカニズムは、酵母菌から哺乳動物まで保存されている複数の分子群Atg5, Atg7, LC3等によって完全に支配されていると考えられてきました。しかしながら、私たちの研究グループは、Atg5, Atg7, LC3などの分子に依存しない新たなオートファジー機構が存在することを発見致しました。この新規オートファジーは、ゴルジ装置やエンドソームを起源としており、Rab9等の分子によって調節されています。また、細胞にDNA傷害などのストレスが加わった時に強く誘導される他、赤血球が成熟する際に起るミトコンドリア除去にも関与しています。新規オートファジーは細胞ストレスによって強く誘導されることから、発癌、神経疾患、炎症疾患など幅広い疾患に関与していることが考えられ、これらの疾患の新規治療法開発への応用が期待できます。

問い合わせ先

東京医科歯科大学 難治疾患研究所 病態細胞生物学分野 教授
清水 重臣 (シミズ シゲオミ)
TEL 03-5803-4683
e-mail: shimizu.pcb@mri.tmd.ac.jp
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