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「脳内因子が骨を制御」
−新規の骨粗鬆症の治療法へ手がかり−


 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科整形外科学の竹田秀特任准教授、四宮謙一教授らのグループは、久留米大学、国立循環器病センター、東京大学、虎の門病院のグループとの共同研究で食欲を調節する神経ペプチド「ニューロメジンU」が「脳による骨の調節」のカギとなる分子であることを見出しました。このことにより、新規の骨粗鬆症治療法の開発への道が開かれました。
 本研究は、東京医科歯科大学大学院21世紀COEプログラム「歯と骨の分子破壊と再構築のフロンティア」(COE拠点リーダー・野田政樹教授)の一環として行われたものです。この研究成果は米国の医学雑誌Nature Medicine に、2007年9月16日付オンライン版で発表されました。
        
竹田 秀 特任准教授
本学大学院医歯学総合研究科
整形外科学分野
ポイント
  • 食欲を調節する神経ペプチド「ニューロメジンU」が骨代謝を制御することを発見
  • 「脳による骨の調節」のカギとなる分子であることを証明
  • 画期的な骨粗鬆症の治療法開発に期待

研究の背景

 高齢化社会の進展とともに、骨粗鬆症や関節炎などの骨領域疾患の患者数が著しく増加し大きな問題となっています。これまで、竹田秀特任准教授、四宮謙一教授らのグループは交感神経が骨を調節することを発見し、「脳が骨を調節する」という独自の切り口で世界をリードしてきました。本研究はさらにその研究を発展させ、脳にある神経ペプチドの骨への作用を明らかにしました。


研究成果の概要と意義

 ニューロメジンU(以下NMU)は脳に存在する神経ペプチドの一種であり、食欲やエネルギーの消費を調節する作用があることが知られています。今回、我々はNMUを欠損したマウスの骨の量(骨量)が増加すること、中枢神経にNMUを投与すると、その増加した骨量が正常化することを見出しました。またさらに、NMUを欠損したマウスでは交感神経による骨の調節機構がうまく働かないことを明らかにしました。これらのことから、NMUが食欲と骨を同時に制御すること、また「脳による骨の調節」のカギをにぎる因子であることがわかりました。既存の骨粗鬆症の治療薬は直接に骨の細胞をターゲットとしたものがほとんどであるため、今回解明の進んだ「脳による骨の調節」のシステムを制御するような薬剤が開発されれば、画期的な骨粗鬆症の治療へとつながるのではと期待されます。


問合せ先

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
整形外科学分野

竹田 秀 (たけだ しゅう)
e-mail: takeda.orth@tmd.ac.jp
四宮謙一 (しのみや けんいち)
e-mail: shinomiya.orth@tmd.ac.jp

TEL 03-5803-5279 FAX 03-5803-5281
研究室ホームページ http://www.tmd.ac.jp/med/orth/orth-J


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