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「重症アトピーをともなう難病の原因遺伝子をついに発見」
−遺伝子治療の可能性、重症アトピーの病態解明・治療法開発への手がかり−


 東京医科歯科大学大学院・免疫アレルギー学分野の烏山一教授と峯岸克行准教授の研究グループは、北海道大学、東北大学、藤田保健衛生大学、九州大学、セルビア・モンテネグロ、トルコの小児科グループとの共同研究で、免疫力が低下しているのに重症アトピー性皮膚炎をひきおこすという大変不思議な難病である「高IgE症候群」の原因が、STAT3と呼ばれる遺伝子の異常によることをつきとめました。この研究は文部科学省科学研究費補助金ならびに厚生労働科学研究特定疾患対策研究事業原発性免疫不全症候群調査研究班の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Nature(ネイチャー)に、2007年8月5日付オンライン版で発表されました。   
烏山 一 教授(右)
本学大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野 
峯岸 克行 准教授(左)
本学大学院医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野 

ポイント
  • 長らく謎であった重症アトピー性皮膚炎を伴う免疫不全症「高IgE症候群」の原因が、細胞内情報伝達に重要なSTAT3と呼ばれる遺伝子の突然変異によることをつきとめました。
  • 高IgE症候群の早期診断が可能となるとともに、遺伝子治療法開発への道が開かれました。
  • 重症アトピー性皮膚炎の病態解明と新規治療法開発への応用が期待できます。

研究成果の概要と意義

 高IgE症候群は、重症アトピー性皮膚炎、繰り返す肺炎と皮膚膿瘍、骨粗しょう症、血中IgE高値など多彩な臨床症状を示す先天性免疫不全症です。40年以上も前に見つかった病気ですが、長年の研究にもかかわらず原因がわからなかったため、有効な治療法がありませんでした。私たち研究グループは、患者様の血液細胞の免疫力評価と遺伝子解析から、高IgE症候群の原因が、STAT3と呼ばれる細胞内情報伝達に重要な遺伝子の異常によることをつきとめました。患者様のご両親やご兄弟には遺伝子異常が見つからないことから、先天性の疾患であるにもかかわらず、遺伝によるものではなく新たな突然変異によって病気が発症するものと考えられます。この発見により、高IgE症候群の早期診断・早期治療開始による感染症予防が可能となるとともに、遺伝子治療法開発への道が開かれました。この研究をさらに発展させることにより、重症アトピー性皮膚炎の病態解明と新規治療法開発への応用が期待できます。


問い合わせ先

東京医科歯科大学大学院
医歯学総合研究科免疫アレルギー学分野

烏山 一 (からすやま はじめ)
e-mail: karasuyama.mbch@tmd.ac.jp
峯岸 克行(みねぎし よしゆき)
e-mail: yminegishi.mbch@tmd.ac.jp
TEL 03-5803-5162
研究室ホームページ http://www.tmd.ac.jp/med/mbch/Immunology


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