倫理審査委員会

平成17年度
第3回難治疾患研究所倫理審査委員会議事要旨

日時:平成17年11月9日(水) 14:30〜17:00
場所:難治疾患研究所 会議室
出席:木村、片山、古川(以上、内部委員)、稲葉、加藤、神奈木、徳永、原田 (以上、外部委員)

一般の人の立場として、新たに原田節子委員が就任した。任期は平成19年3月31日までである。出席委員の自己紹介の後に議事に入った。

議事

1. 前回議事要旨の確認
議事要旨は既に配布しているが、これに異議のないことを確認した。

2. 第1号(受付第1-1号案件)
「脳外傷後遺症における認知心理学的・神経画像診断学的研究」
実施責任者:石松一真客員部門助手(神経外傷心理研究部門)

実施責任者石松一真客員部門助手および中村俊規客員部門教授より研究計画について説明があった後、被検者の選択方法(基準)、対象数、未成年者あるいは認知障害者が対象となる場合の同意取得の方法(代諾者の選択を含む)などについて質疑応答があった。種々協議の結果、本研究計画を承認することが妥当であると判定した。

3. 第2号(受付第1-2号案件)
「神経心理学検査BRANSの日本語版作成―医療現場で利用可能な認知機能検査の標準化に向けた調査―」
実施責任者:中村俊規客員部門教授(神経外傷心理研究部門)

本研究は、他施設共同研究の一環として実施されるものであるとして、実施責任者の中村俊規客員部門教授より研究計画について説明があった。被検者の選択方法、ことに比較的若年の被検者の選択、および未成年被検者を対象とする場合の同意取得の方法(代諾者の選択を含む)などについて質疑応答があった。種々協議の結果、以下の点を条件として、本研究計画を承認することが妥当であると判定した。

1. 富山医科薬科大学(中心研究施設)において、本研究計画が承認されていること
2. 多施設共同研究に参加している研究施設などの組織図を委員長が確認すること

4. 第3号(受付第2号案件)
「腹膜透析患者における中皮細胞変化」
実施責任者:神田英一郎特別機関研究員(自律生理)

本研究計画は、実施責任者が所属している総合病院取手協同病院で倫理審査委員会の承認を受けて既に実施中の研究について、本研究所で匿名化データの解析を行うこと及び片山教授が研究に参加することを申請するものである。迅速審査の対象とすべき案件であるが、片山教授より研究内容についての説明があった。協議の結果、以下の条件で研究計画を承認することが妥当であると判定した。

1. 総合病院取手協同病院の倫理審査委員会に、片山教授が当該研究に参加する旨、およびデータ解析の一部を難治疾患研究所で行う旨の追加申請を行い、承認を得ること
2. 研究期間を科学研究費補助金申請の研究期間に一致させること

5. 第4号(受付第3号案件)
「免疫不全マウスを利用した活性化Tリンパ球治療モデル実験系作成とエイズ研究への応用」
実施責任者:清水則夫助教授(フロンティア研究室ウイルス治療学)

本研究は、東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会によって承認された「AIDS(エイズ)治療研究のためのヒト臍帯血幹細胞のSCID mice (NOG)への移植によるヒト型リンパ濾胞を含むHIV−1感染モデルの構築(実施責任者山本直樹)」(平成15年10月31日)および国立感染症研究所動物実験委員会によって承認された「HIV−1感染実験動物モデルの作成(実施責任者本多三男)」(平成17年7月7日)と密接に関連する研究であり、東京臍帯血バンク処理保存施設日大臍帯血バンク運営委員会によって利用申請を許可(平成17年3月31日)された臍帯血ならびに本学医学部産婦人科において採取される臍帯血を利用して実施する研究である。清水助教授より研究の概要について説明があり、種々の質疑応答を行った。協議の結果、以下の条件で研究計画を承認することが妥当であると判定した。

1. 本学における臍帯血採取に関して、医学部の倫理審査委員会の承認を得ること
2. 互いに関連する多施設共同研究であるが、それぞれの実施責任者の所属と役割分担を明確にし、承認された範囲内で実験すること
3. 「AIDS(エイズ)治療研究のためのヒト臍帯血幹細胞のSCID mice (NOG)への移植によるヒト型リンパ濾胞を含むHIV−1感染モデルの構築」の実施責任者が山本直樹教授となっているが,これを変更しなくて良いのかを東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会に確認すること

6. 第5号(受付5号案件)
「動脈硬化形成における遺伝子メチル化に関する研究」
実施責任者:村松正明教授(分子疫学)

本研究は、東京都老人医療センターとの共同で実施するものである。村松教授が出張中であったため研究計画の具体的内容について大学院生より説明があった。また、本研究について、東京都老人医療センターの倫理審査委員会において研究計画の審査中である旨の説明があった。研究計画について、対象予定症例数の設定根拠を含め、種々の質疑応答を行った。協議の結果、研究計画書の字句を一部修正(対象試料を「腎組織」から「大動脈」とする)の上、以下の条件で研究計画を承認することが妥当であると判定した。

1. 対象症例数は概ね50件程度とすること
2. 東京都老人医療センターの倫理審査委員会による承認を受けて実施すること

7. 第6号(受付第6号案件)
「心筋梗塞の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

8. 第7号(受付第7号案件)
「難治性不整脈の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

9. 第8号(受付8号案件)
「肥大型心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

10. 第9号(受付第9号案件)
「拡張型心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

11. 第10号(受付第10号案件)
「高血圧性心筋症の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

12. 第11号(受付第11号案件)
「甲状腺多因子疾患の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

13. 第12号(受付第12号案件)
「若年性糖尿病の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

14. 第13号(受付第13号案件)
「大腸癌の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

15. 第14号(受付第14号案件)
「難治性動脈炎の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

16. 第15号(受付第15号案件)
「SLEおよびMCTDの病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

17. 第16号(受付第16号案件)
「慢性関節リウマチの病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

18. 第17号(受付第17号案件)
「炎症性腸疾患の病因と病態形成機構の究明に関わる研究」
実施責任者:木村彰方教授(分子病態)

上記第6号から第17号までの案件は、いずれも既に承認された研究(平成16年4月23日付)について、遺伝子解析実施者を追加するものである。実施責任者の木村教授が退席した上でこれらの案件について協議し、いずれも研究計画の部分変更(研究者の追加)を承認することが妥当であると判定した。

19. きわめて軽微な研究計画の変更に関する取り扱いについて

解析実施者の削除や追加などごく軽微の研究計画の変更についての対応を協議した。研究実施施設の追加などの軽微な研究計画の変更は迅速審査にゆだねることとしているが、解析実施者の削除や追加などはきわめて軽微な変更であるため、このような変更については倫理審査委員会委員長の判断で承認の可否を決定し、その旨を委員に報告することで対応することとした。なお、報告に疑義のある際などは迅速審査の場合と同様の手続きで再審査するものとする。

20. 第18号(受付第4号案件)
「犯罪被害者のPTSD治療法の研究」
実施責任者:山上皓教授(犯罪精神医学)

本研究は、文部科学省科学技術振興調整費「犯罪、行動異常、犯罪被害等の現象、原因と、治療、予防の研究(研究代表者山上皓)」の課題と密接に関連し、本学医学部との共同でPTSDの治療法の有効性を研究するものである。山上教授より研究計画の説明があり、対象の選択方法、予定される対象症例数、同意取得の範囲と方法、本研究に関わる研究者の守秘義務などを含め、種々の質疑応答を行った。実施責任者の山上教授が退席した上でこれらの案件について協議し、本研究を承認することが妥当であると判定した。