Ph.D.キャリアの活かし方

第一回セミナー
「多様な世界で活躍するPh.D.の姿」

〜講師〜
竹本 佳弘 特任教授
(本学国際交流センター・前国際交流ディレクター)

平成22年9月17日(金)に、講師に本学国際交流センターの竹本佳弘特任教授・前国際交流ディレクターをお招きして、第一回「Ph.D.の活かし方」セミナーを開催しました。「多様な世界で活躍するPh.D.の姿」についてご講演頂き、主に1.「日本のPh.D.取得者の就職の現状と課題」、2.「Ph.D.を活かすために今できること」、3.「活躍する女性研究者」、4.「キャリアのSWOT分析」、についてお話を伺いました。29名の方がセミナーに参加され、熱気にあふれたご講演となりました。

「日本のPh.D.取得者の就職の現状と課題」については、現在、日本でPh.D.を取得しても希望の職業に就けない人が急増していることを示す記事やデータを示されました。また、152社を対象に行われた「企業における博士修了者の状況アンケート」を示され、「企業が博士課程修了者を評価していること」として、「専門知識・専門能力、研究遂行能力」が多く挙げられていると述べられました。一方で、「企業が博士課程修了者を評価していないところ」では、「コミュニケーション能力、協調性」などが挙げられていました。実際には、Ph.D.取得者の希望と、企業が求めるPh.D.の姿があまり適合しておらず、また日本の企業では、Ph.D.と学部卒の間にあまり差を設けておらず、Ph.D.取得者の能力が十分に理解されていない点などが、企業に受け入れられにくい原因だと示唆されました。

「企業でPh.D.を活かすために今できること」では、Ph.D.ならではの差別化要因を自分で身につける必要があり、企業のインターシップ等に積極的に参加することで多様な価値観や全体的な視点を持つことや、例えば語学力・統計学のスキルを磨くことにより自分の専門分野以外に得意分野を作ることで活躍の場を広げることができる、とお話されました。また、Ph.D.取得者の需要がある市場を見極めることも大切であると述べられました。

海外でのPh.D.についても触れられ、日本に比べ、海外ではPh.D.の資格が高く評価されるので、海外の企業へ直接就職することを視野に入れることもキャリアの選択肢の一つである、と提案されました。また、「活躍する女性研究者」では、竹本教授のお知り合いの女性研究者で、企業に就職された方や、アカデミックに進まれた方についてもご紹介されました。女性研究者の方が書かれたある論文をご紹介され、積極的に論文投稿してアウトプットすることが業績を作ることにつながる、と述べられました。最後に、自分のキャリアの分析手段として、SWOT分析を例に挙げられ、自分の強み・弱み、機会・脅威を考え直してみることが今後のキャリア形成に有効である、と述べられました。

博士を取り巻く環境は厳しいものの、よく見渡せば、Ph.D.を活かす方法は色々ある。まずは現在の研究課題に真摯に取り組み論文に仕上げるなど、目の前の仕事を一つずつ形に仕上げていくことが一番大切であり、その中で視野を広げ、多様な変化をチャンスに変える能力(視点)を身に付けることが大切である、とのメッセージを頂きました。

ページトップ