東京科学大学病院・東京大学医学部附属病院 心臓移植における連携・協力に関する協定書の締結 調印式
2025.3.10
心臓移植を安心・安全に実施するためには、移植施設単独の取り組みだけでなく、周辺病院との緊密な連携が不可欠です。これまでも、東京大学医学部附属病院とは、医師・看護師・事務部門間の研修や情報共有を通じて、密接な関係を築いてまいりました。そして、本院が心臓移植実施施設として正式に申請するにあたり、病院間の連携をより明確にし、相互の協力体制を確立するため、協定を締結することとなりました。
特に、東京科学大学病院と東京大学医学部附属病院は地理的にも近く、今後の患者受け入れや医療連携の強化が見込まれることから、両病院長が正式に調印を行い、協定締結を記念する場を設ける運びとなりました。
協定締結の打診は約1年前から始まりましたが、部門間での調整が必要だったため、実際の締結に向けた具体的な準備は年末年始頃から本格化 しました。医療の現場においては、専門領域ごとに役割が細分化されているため、心臓移植に関わる複数の診療科や事務部門が協力し、慎重に協定内容を検討しました。
調印式当日は、両病院の病院長をはじめ、心臓移植に関わる医療スタッフや事務部門の代表者が出席し、厳かな雰囲気の中で執り行われました。藤井靖久病院長からは「この協定が両病院の協力体制をさらに強化し、より良い医療の提供につながることを願う」との挨拶があり、田中栄病院長からも「これまでの協力関係を基盤に、患者さんにとって最良の医療を提供できるよう努めていきたい」との言葉が述べられました。
また、心臓移植の実施には、医療従事者だけでなく、事務や運営に関わる多職種の協力が必要不可欠であることが再確認されました。調印後には、関係者同士で意見交換を行い、今後の具体的な連携についての議論が交わされました。
心臓移植における連携・協力に関する協定書の締結 調印式の準備や実施を経験する中で、心臓移植の実施がまさにチーム医療の象徴である ことを改めて病院スタッフ一同が、実感しました。さらに、それぞれの病院が多職種連携を深め、経験を積み重ねながら医療の質を向上させていることを強く感じる機会 となりました。
今後、東京科学大学病院での心臓移植実施に向けて、より多くの関係者と協力しながら、実現に向けた準備を進めてまいります。本協定をきっかけに、さらなる病院間の連携を強化し、患者さんにとって最良の医療が提供できるよう努めてまいります。
藤井靖久病院長のメッセージ
東京科学大学の理念は、
「世界最高水準のトータル・ヘルスケアを提供し、人々の幸せに貢献する」であり、
基本方針は、
1. 患者中心の安全、良質な全人的医療を提供する
2. 人間性豊かな医療人を育成する
3. 高度先進医療を開発、実践する
4. 社会に開かれた病院として、人々の信頼に応える
5. 力を合わせて患者さんと仲間たちを守る
です。
心臓移植は、この理念と基本方針に合致した高度先進医療であり、社会貢献の一環です。同時に、移植医療の人材育成にも力を入れていきたいと考えています。これまで東京大学医学部附属病院が心臓移植において多大な貢献をされてきたことに深く敬意を表します。今後、この協定を通じて両病院の協力体制をさらに強化し、より良い医療の提供に努めてまいります。
心臓血管外科・藤田知之教授のメッセージ
これまで、東京大学は強いリーダシップのもと日本の移植医療に貢献してこられました。この度の東京大学と東京科学大学の心臓移植医療における協定書の締結は、地域の移植医療の充実、ひいては日本の移植医療の発展のために両校が協力していくというものです。移植医療は、ドナーの方やそのご家族のご意思やご厚意で成り立つ医療です。また、患者さんの一生を通じて関わっていく医療です。この高い倫理観が求められる医療において、今後は力を合わせてさらなる診療、研究、人材育成に貢献してまいります。
循環器内科・笹野哲郎教授のメッセージ
東京科学大学は、新たに移植医療部を設立し、心臓移植の分野に本格的に取り組んでいます。東京大学は、これまで日本の移植医療を牽引してきた施設であり、心臓移植においても豊富な経験と知見を有しています。このたび、両大学が心臓移植医療に関する協定を締結することで、東京科学大学は東京大学の協力を得ながら、安全かつ円滑に心臓移植を開始できるようになります。また、この協力関係を通じて、移植医療のさらなる発展を目指します。今後も力を合わせ、移植医療の進歩に貢献してまいります。