A-T(毛細血管拡張性運動失調症)とは

A-Tはどういうふうに遺伝するの?

人の体は細胞と呼ばれる何百万もの小さな構造物によって構成されています。すべての細胞はそれぞれ完全な設計図をもっており、細胞はその設計図により何をすべきか、体をどのように機能させるのかの指示を受けます。この設計図は遺伝子と呼ばれ、DNAと言う分子からできています。遺伝子は通常一対で構成され、私たちの体についてのすべてを決定します。例えば、ある遺伝子は目の色を決定し、また一方他の遺伝子は血液型を決定します。

遺伝子が持つ情報はある世代から次の世代へ手渡されるため、遺伝子はしばしば遺伝の単位と呼ばれます。一対のうちひとつの遺伝子は母から、もうひとつは父から由来します。このように、両親から引き継いだ設計図の組み合わせによって、私たちの体は機能します。どの遺伝子を継承するのかは、両親は決めることができません。

A-Tの遺伝解説図

図を拡大する

毛細血管拡張性運動失調症は“劣性”の遺伝疾患です。A-T患者の両親は自分に症状がなくても、子供がA-Tになる可能性のある劣性遺伝子を保有しています。したがってA-Tの遺伝的経路は予測不可能であり、A-Tの子供が生まれると、両親は大きなショックを受けます。この劣性遺伝子は何世代にもわたって症状なしに静かに伝わり、たまたまこの遺伝子をもつふたりが夫婦となり子供を設けることで突然、A-Tとして発症するのです。

A-Tの原因となる劣性遺伝子の保因者の両親からA-Tの子供が生まれる確率は4人に1人(25%)です。A-T患者の健康な兄弟姉妹同胞でもA-Tの劣性遺伝子を保有し、保因者となる確率は3人のうち2人(66%)となります。

2007年6月1日更新

page top