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「骨を減らす破骨細胞を制御する遺伝子を発見」
−骨粗鬆症や関節リウマチの治療法に道−


 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学の高柳広教授らのグループは、東京大学医学部神経生化学の尾藤晴彦助教授らのグループと共同し、骨量を減らす破骨細胞の形成や機能に必要な物質として酵素カルモジュリンキナーゼIVと転写因子CREBを同定し、その阻害剤が骨粗鬆症や関節リウマチの骨破壊の治療に有効であることを動物実験で示しました。本研究は、東京医科歯科大学大学院21世紀COEプログラム「歯と骨の分子破壊と再構築のフロンティア」(COE拠点リーダー・野田政樹教授)の一環として行われたものです。この研究成果は米国の医学雑誌Nature Medicine の12月号に掲載されました。         
高柳 広 教授
大学大学院医歯学総合研究科
分子情報伝達学分野
ポイント
  • 骨を減らしたり骨を破壊する病気の原因となる破骨細胞を制御する物質として酵素カルモジュリンキナーゼIVと転写因子CREBを同定
  • カルモジュリンキナーゼの阻害剤が骨粗鬆症や関節リウマチでの骨破壊の治療に有効であることを動物実験で証明
  • 新規の骨疾患治療薬の開発に道

研究の背景

 高齢化社会の進展とともに、骨粗鬆症や関節炎などの運動器の疾患を減らし、健康な寿命をのばすことが大切になってきています。骨関節疾患の治療においては、骨を減らす(骨吸収を行う)破骨細胞を抑制することが重要ですが、従来の治療薬では十分な効果を持つ薬剤はあまりありません。そこで、破骨細胞が形成されるしくみを解明して、そのメカニズムをもとにして新しい治療薬を開発していくことが重要です。高柳広教授らのグループは破骨細胞をつくるタンパク質NFATc1を発見し、破骨細胞の研究で世界をリードしていますが、本研究では、破骨細胞ができる過程をさらに詳細に調べ、形成や機能に必要な酵素や転写因子を解析してそのメカニズムの本質に迫りました。


研究成果の概要

 骨を吸収する細胞である破骨細胞の形成は、破骨細胞分化因子(RANKL)や免疫受容体刺激による細胞内カルシウム濃度の上昇(カルシウムシグナル)によって誘導されます。カルモジュリンキナーゼIVの遺伝子を破壊したマウスにおいては、CREBの活性化が障害され、破骨細胞が十分形成できず、骨が増加して骨硬化症になっていました。このマウスの細胞やカルモジュリンキナーゼ阻害剤を用いた分子生物学的な検討により、RANKLとカルシウムシグナルは、カルモジュリンキナーゼIVを活性化し、転写因子CREBを介して破骨細胞の形成を制御することが解明されました。さらにカルモジュリンキナーゼ阻害剤を閉経後骨粗鬆症モデル動物や関節リウマチなどの炎症性の骨破壊のモデル動物に投与したところ、極めて有効な治療効果を示しました。このような本研究成果の応用により、骨粗鬆症や関節炎の新たな治療法の開発の可能性が示されました。


問い合わせ先

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
分子情報伝達学分野
高柳 広 (たかやなぎ ひろし)
e-mail: taka.csi@tmd.ac.jp
研究室ホームページ http://osteoimmunology.com/


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